ケアマネの転職面接では、自分が担当してきた仕事を正確に説明し、応募先で任される仕事と支援体制を確かめる準備が役立ちます。回答を一つ作ったら、その経験が入職後にどう使われるかを聞く逆質問も一つ用意してみてください。
確認表から読む場合は、逆質問と追加質問の確認表をご覧ください。本文の前提と注意点も合わせて確認できます。
この記事では、経験の説明、未経験範囲、応募先への質問を対応させ、面接後に確認事項を残す方法をまとめます。質問は、面接準備のために選んだ論点です。回答例と記入例はすべて仮想例です。
面接前は、勤務先・担当範囲・連携・改善を整理する
最初に整理するのは、どこで、どの立場で、何を担当したかです。マイジョブ・カードでも、職務内容と果たした役割、仕事を通じて学んだ知識・技能を分けて記入する形が示されています。
出典:厚生労働省 マイジョブ・カード「様式2 職務経歴シート」
面接用のメモには、職歴の全文を写す必要はありません。質問を受けたときに、自分の行動と未経験の範囲を説明できる材料を残しましょう。
| 整理する項目 | 手元に残す内容 | 面接で分けて伝えること |
|---|---|---|
| 勤務先 | 居宅・施設などのサービス種別と担当期間 | ケアマネ以前の職歴と、ケアマネとしての実務 |
| 担当範囲 | 主担当の業務、補助した業務、兼務 | 一人で担当した範囲と、上司の確認を受けた範囲 |
| 連携 | 自分が相談した相手、確認事項、調整の手順 | 会議への参加と、会議を調整・進行した経験 |
| 改善・学び | 仕事の進め方を変えた理由、自分の行動、確認できた結果 | 自分が決めた変更と、提案・実行を手伝った変更 |
「多職種連携を経験しました」だけでは、相手には自分の担当が伝わりません。「相談事項を整理して管理者に確認し、その後に連携先へ連絡した」のように、自分が動いた部分を説明すると、追加質問にも答えやすくなります。
質問の意図を考え、経験と逆質問を対応させる
採用側の質問意図は一つとは限らないため、決めつける必要はありません。何を聞かれているかが広すぎると感じたら、「担当業務とチーム内の役割の、どちらを先にお伝えすればよいでしょうか」と確認してから答えられます。
| 質問例 | 確認の論点 | 経験・未経験を伝える材料 | 応募先へ返す質問 |
|---|---|---|---|
| 担当件数と進め方を教えてください | 業務量と進め方が合うか | 時点をそろえた実数、訪問・記録・兼務。未経験の担当形態 | 入職直後の担当と、増やすときの判断者は誰ですか |
| 計画を作るときに何を確かめますか | 利用者の意向と情報をどう扱うか | 意向の確認、情報の不足、相談した相手。単独判断していない範囲 | 計画や記録の確認は、誰がどの場面で行いますか |
| 多職種との調整経験はありますか | 自分の役割と相談方法 | 連絡した理由、伝えた論点、自分が調整した範囲 | 判断が割れたとき、事業所内では誰に相談しますか |
| 調整が難しかった場面を教えてください | 課題を整理し相談できるか | 個人を特定しない状況、自分の行動、結果が未確定の部分 | 担当者だけで進めにくい相談を共有する機会はありますか |
| 記録・給付管理はどこまでできますか | 担当させる業務と支援の必要性 | 使用経験のある仕組み、入力・確認・修正の分担。未経験の処理 | 事務職員とケアマネの分担、最終確認者を教えてください |
| 今後どんな仕事をしたいですか | 応募先の期待と本人の希望 | 経験を深めたい仕事、学びたい仕事、引き受ける前に必要な支援 | 将来の指導・管理業務は、いつどのように相談されますか |
担当件数は、時点と業務の内訳を添える
担当件数を伝えるときは、いつの実数なのか、どの担当を含めた数字なのかをそろえます。入退院の調整、移動、記録、兼務の有無なども添えると、数字だけでは分からない仕事の範囲を説明できます。
制度上の人員配置基準や報酬の取扱いに使う件数は、本人が無理なく担当できる件数を示すものではありません。面接では全国共通の「適正件数」を答えようとせず、自分の実務と応募先の体制を照らし合わせてください。担当件数の伝え方や受け持ち条件を整理するときは、担当件数を比較するときの確認事項で、数え方と支援体制を分けて確認できます。
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
数字を推測して埋めず、把握している時点と範囲を伝えましょう。「正確な件数は確認してからお伝えします。日々の業務では、訪問予定と記録期限を確認して進めていました」のように、数字と業務の説明を分けられます。
確認のために利用者一覧を個人の端末へ送ったり、応募先へ提出したりする必要はありません。外部へ出してよい集計か分からないときは、前職・現職の取扱いを確認し、守秘に関わらない担当範囲の説明を優先してください。
連携や難しい調整は、自分の行動と結果を分ける
連携の回答では、状況、困っていた点、自分の行動、確認できた結果の順に話すと、経験の範囲を整理できます。チームで決めたことを自分一人の判断として話さず、管理者や他職種に相談した部分も含めて説明しましょう。
「関係者の間で支援の進め方がそろわず、確認が必要になった場面がありました。私は意見が分かれている点を整理して管理者へ相談し、次の話合いで確認する内容を共有しました。」
「その後は確認事項に沿って話合いを進めました。継続的な結果を自分が追えていない部分はありますが、早い段階で相談事項を整理する必要性を学びました。」
結果を確認できない経験でも、どこまで関わり、何を確かめたかを説明できます。実際の回答は、自分に経験のある行動だけに置き換えてください。
記録・給付管理・学びは、確認者まで伝える
記録ソフトの使用経験と、給付管理の一連の処理を担当した経験は分けて伝えましょう。入力した、内容を点検した、返戻等を確認した、管理者へ報告した、という各工程のうち、自分が行った範囲を説明します。
研修の受講歴を聞かれた場合も、研修名だけで終えず、学んだ点と仕事で確かめたことを添えられます。実務で使ったことがなければ、受講による知識と実践経験を分け、入職後に確認したい業務を伝えてください。
志望動機と退職理由は、事実と今回の希望を分ける
志望動機では、応募先について確認した事実と、そこで担いたい仕事をつなげます。「研修が充実しているはず」といった印象は事実として扱わず、採用案内で読んだ内容や説明を受けた内容までにとどめましょう。
退職理由は、実際に困っていたことと次の職場に求める条件を短く伝えます。改善相談をしていないのに「何度も相談しました」と加えたり、希望していない管理職志向を作ったりする必要はありません。
「現職では、担当業務と周辺業務の分担が分かりにくい場面がありました。次の職場では、計画作成や記録に使う時間と、他の業務の分担を確かめて働きたいと考えています」と伝えたうえで、「こちらでは、通常の担当以外の業務が重なったとき、誰が優先順位や分担を決めていますか」と質問できます。
志望動機の完成文を作ることと、面接で追加質問に答えることは別の準備です。応募先を選んだ理由について「どの説明を読んだか」「まだ確認できていないことは何か」まで整理すると、面接中に確かめる内容が残ります。
応募先を選んだ理由を書き出す段階では、ケアマネの志望動機を経験と仕事内容から組み立てる手順も使えます。書いた内容について追加で聞かれても説明できるよう、確認した事実と今後の希望を分けておきましょう。
未経験・ブランク・主任は、期待される範囲をすり合わせる
実務未経験者は、介護職や相談員として経験した連携・記録などを説明し、ケアマネとして初めて行う業務を明確にします。サービス担当者会議に参加した経験があっても、主担当として開催・調整した経験と同じには扱いません。
ブランクがある場合は、以前の担当経験と、現在の制度や使用ソフトで確認が必要な点を分けましょう。証や研修の状況を確認したうえで、応募先には雇用開始の希望日と、ケアマネ業務を始められる見込みを区別して伝えます。
出典:茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」
| 応募時の立場 | 伝えること | 応募先へ確認すること |
|---|---|---|
| 実務未経験 | 前職で行った業務と、初めて担当する業務 | 同行・記録確認の担当者、担当を増やす前の確認方法 |
| ブランクから復帰 | 以前の経験、証の状態、学び直したい範囲 | 業務再開の予定と、制度・ソフトの再習得への支援 |
| 主任ケアマネ | 指導・相談対応・地域連携の実際の経験 | 主任としての支援と、管理者としての職務を分けた期待 |
| 施設ケアマネ | 計画作成以外に経験した介護・相談業務 | 通常時と欠員時の兼務、計画業務の時間を確保する方法 |
居宅介護支援の運営基準は、勤務体制を定めることや研修機会を確保することを求めています。ただし、その記載だけで、入職後の同行回数や指導担当、独り立ちまでの期間が分かるわけではありません。応募先の具体的な進め方を聞いてください。
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
実務未経験から応募する場合は、資格状態と入職後の担当開始条件を確認する手順で、面接前の不足情報を整理できます。自分が初めて担う業務を伝えたうえで、同行・相談・単独担当へ進む条件を応募先へ聞いてください。

逆質問は、曖昧な返事の先まで用意する
逆質問では、入職後に自分が困りそうな場面から優先して聞くと、限られた時間を使いやすくなります。「相談できます」「みんなで対応します」という答えには、誰が、どの場面で、どのように対応するのかを一つずつ確認しましょう。
| 確認したい場面 | 最初の質問 | 答えが曖昧な場合の追加質問 | 残す情報 |
|---|---|---|---|
| 担当を持ち始めるとき | 引継ぎと担当開始はどのように進めますか | 新規の担当を増やす前に、誰が何を確認しますか | 開始時期、確認者、未定の条件 |
| 指導者が不在のとき | 日常の相談や記録確認は誰が担当しますか | その方が休みの日は、誰に相談できますか | 通常の相談先と代替 |
| 記録や請求業務が重なるとき | 事務職員との分担を教えてください | 事務職員が不在の場合、どこまでケアマネが担当しますか | 通常・不在時の担当範囲 |
| 勤務時間外に連絡が来るとき | 休日や夜間の連絡はどのように受けますか | 当番以外の日の対応、記録、翌日の引継ぎはどうなりますか | 連絡当番、対応範囲、労働条件の確認先 |
| 他職種の応援が必要なとき | 兼務や応援として予定される業務は何ですか | 通常時と欠員時で、どの業務が変わりますか | 兼務範囲、時間配分、優先順位の判断者 |
給与、休日、勤務時間も、働く条件を判断するために確認する項目です。求人票や面接ですでに説明された内容と、まだ分からない条件を分け、必要な事項を具体的に質問してください。
「残業はありますか」への返事が「人によります」なら、訪問後の記録や会議が勤務時間内に収まらないときの対応を聞けます。平均だけを尋ねるより、自分が担当する業務で時間が延びたときの扱いまで確認できます。
面接後は、回答・根拠・未確認を同じメモに残す
面接の印象が良くても、答えが出ていない条件は残ります。帰宅後のメモでは、相手の説明を聞けたことと、入職条件として確認できたことを分けましょう。
| 論点 | 受けた回答・確認方法 | 未確認のこと | 次に確かめること |
|---|---|---|---|
| 担当開始 | 管理者から「初めは同行」と口頭説明 | 同行の終了を決める人と確認内容 | 入職調整の担当者に、担当開始までの流れを確認 |
| 指導者不在時 | 「他の職員に相談できる」と口頭説明 | 具体的な相談先と、勤務が重ならない場合の対応 | 業務説明時に通常・不在時の分担を再確認 |
| 休日連絡 | 「当番制」と口頭説明 | 当番外の対応、勤務の扱い、手当等の条件 | 採用担当へ運用と労働条件を確認 |
| 施設内の兼務 | 募集情報では「ケアマネ業務」、面接では「介護応援あり」 | 通常の担当に含まれるか、欠員時だけか | 業務内容と変更範囲の説明を確認してから受諾判断 |
口頭説明だけの項目を、書面で確認済みと同じにしないことが大切です。労働条件については、契約時に示される就業場所・業務と、その変更範囲などを面接説明と照合します。
出典:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」
教育担当や細かな業務分担のすべてが、労働条件通知書の必須記載事項になるわけではありません。業務説明の資料や採用担当からの回答など、確認できる方法を相談し、分からない点は分からないまま記録してください。
担当、相談先、勤務条件が確認できたら、自分が希望する働き方と照らし合わせます。条件が合わない場合は、変えてもらえる範囲を確認してから選考を続けるか判断します。
採用担当だけでは分からない内容は、現場の管理者などへ確認してもらえるか尋ねます。受諾前に必要な回答と、入職後の調整でよい内容を自分の中で分けておきましょう。
募集情報と面接説明で兼務や勤務時間が違う場合は、最終的に予定する条件を確認します。自分にとって外せない条件の回答がない間は、承諾の返事をいつまで待ってもらえるか相談してください。
守秘と事実を確かめてから、声に出して練習する
利用者の名前を削っただけでは、安心して話せるとは限りません。個人情報保護委員会のQ&Aでも、他の情報と容易に照合して本人を識別できる場合は、全体として個人情報に該当すると説明されています。
出典:個人情報保護委員会「医療・介護ガイダンスQ&A」総論Q2-11
面接では地域名、珍しい病歴、詳しい家族構成や出来事の日付を重ねず、仕事上の論点と自分の行動に絞ります。前職のケアプラン、記録画面、利用者情報を含むメモを応募先や文章作成AIへ渡さず、自分の説明を新しく組み立ててください。
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、個人情報保護委員会「医療・介護ガイダンスQ&A」総論Q2-11
職歴・資格・担当期間が提出書類と一致するか、使う数字に確認できる根拠があるかを見直します。自分で行っていない業務、把握していない成果、相手の個人情報が回答に混ざっていないかも確かめてください。
練習は、回答を読んだ後に「自分は何をしたか」「誰に相談したか」「未経験なのはどこか」と問い返す形で行えます。言葉に詰まる部分は実績を足して埋めず、事実を確認するか、分からないと伝える準備をしましょう。
回答を自分で整理しにくいときは、ハローワークの面接セミナーや職業相談を確認する方法もあります。相談先へ持参する説明にも、利用者の情報や前職の内部資料を混ぜないようにしましょう。
よくある質問
- 未経験なのに「すぐ担当できますか」と聞かれたらどう答えますか。
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現在の資格・証の状況と、経験済みの業務を伝え、初めて行う仕事には支援が必要だと説明します。「記録の確認を受けながら担当したい」など、必要な支援を具体化し、担当開始の方法を確認してください。
- 苦労した事例を詳しく聞かれたら、どこまで話せますか。
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利用者や家族が特定される説明は避け、状況の論点、自分の行動、相談した手順を話します。守秘に関わる詳細を求められた場合は、「個人が分かる情報は控え、私の対応手順をご説明します」と伝えられます。
- 逆質問に答えてもらえなければ、その場で辞退すべきですか。
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その場の面接官では答えられない場合もあるため、確認先と回答時期を尋ねてください。入職判断に外せない条件が未確認のままなら、受諾を急がず、必要な回答を待てるか相談します。
自分の回答から、入職後の確認へつなげる
面接の準備は、経験を説明するところまでで終わりません。「この仕事は経験がある」「ここは支援が必要」と整理したら、応募先での担当と相談体制に結びつけて確かめましょう。
面接後に残した未確認事項は、そのまま次の質問になります。自分の経験を誇張せずに伝え、相手の説明も具体的に記録することで、入職を判断するための材料をそろえられます。回答に使う経験はケアマネの職務経歴書の作り方で整理し、内定後は本人に適用される担当と勤務条件を照合してください。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
出典:厚生労働省 マイジョブ・カード「様式2 職務経歴シート」
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
出典:茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」
出典:個人情報保護委員会「医療・介護ガイダンスQ&A」総論Q2-11
出典:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、ケアマネの経験説明シート(PDF)、面接の逆質問・回答記録(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
