危険な訪問を一人で抱えない職場を選ぶ|相談・複数対応・緊急時の確認

まっく部長
中小企業診断士 元職業紹介責任者 元医療介護企業 人事責任者
公開日:

職業紹介責任者としてケアマネジャーなど資格職の職業紹介に携わり、 医療介護企業の人事責任者として採用・人事制度設計・労務管理を担当。 介護管理職の転職・採用・キャリア情報を、 公的資料と採用側・紹介側の実務経験をもとに執筆・編集しています。

訪問先での暴言や暴力が不安なときは、職員が一人で対処し続ける仕組みになっていないかを確かめてください。相談窓口の名前に加え、その場を離れる判断、代わって対応する人、次回訪問の方針を誰が決めるかまで聞くと、支援の具体性が分かります。

応募先の説明を整理する場合は、訪問時の支援体制を確認する表へ進んでください。訪問前、現場、帰所後、次回訪問前の各段階を、架空の完成例で確認できます。

注意|いま危険が迫っている場合

暴力を受けそう、出口をふさがれたなど、身の危険が迫っている場合は、安全な場所への退避や警察・救急への連絡を優先してください。相談票の記入や管理者の返答を待つために、危険な場所へとどまる必要はありません。

出典:事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針、介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

目次

本人の対応力だけで安全を評価しない

2026年10月1日から、カスタマーハラスメントの防止措置が事業主の義務となっています。厚生労働省の指針は、事業主の方針、相談体制、事実確認と対応、再発防止等を定めており、通常の勤務場所以外でも業務を行う利用者宅は対象に含まれます。

出典:厚生労働省・職場におけるハラスメントの防止のために、事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

ただし、苦情があることだけでカスタマーハラスメントと決まるわけではありません。指針では、顧客等の言動、業務の性質等に照らして許容範囲を超えること、就業環境が害されることの三つを満たすかで整理しており、正当な申入れは区別されています。

出典:事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

応募先を比べる際は、病名、障害、年齢、家族構成などから「危険な人」を選別する質問にしないでください。物を投げた、進路をふさいだ、特定の発言が繰り返されたなど、具体的に起きた行為と、その際に職場がどう支援するかを確認します。

認知症等の症状による言動か、ハラスメントに当たるかを、職員一人で決める進め方も避けます。分類が決まっていない段階でも、危険や不安を相談でき、必要な安全確保を進める体制かどうかを確かめてください。

出典:職員向け研修のための手引き

危険な訪問を一人で抱えない。危険が迫るとき:退避と警察・救急への連絡を優先管理者の返答を待たない。安全な場所から:緊急連絡先へ報告不通時の次の相手も確認。安全確保の後:起きた行為と対応を記録共有先と保管先を確認。次回訪問の前:同行等の決定者と手配を確認提供方針は組織で検討。退避と以後の提供方針を分ける。

日常の相談窓口と、緊急連絡の経路を分ける

日常の相談は「管理者に相談してください」という説明でも、管理者が訪問中や休暇中の場面があります。現場からすぐに連絡する先、応答がない場合の次の連絡先、現場を離れた後の報告先を分けて聞いてください。

2026年の指針では、ハラスメントが起きるおそれや、該当するか微妙な場合も広く相談に対応することが求められています。「証拠がそろってから」「ハラスメントだと確定してから」と相談を後回しにする説明なら、判断前の不安を誰が受け取るのか確認が必要です。

出典:事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

厚生労働省掲載の職員向け研修手引きは、緊急時は記録より報告を優先し、相談シートの提出がなくても相談できると説明しています。応募先にも、電話や口頭でまず伝え、記録は安全を確保した後に整えられるかを聞いてください。

出典:職員向け研修のための手引き

上司や担当者が不在の場面は、不在時の代替体制を確認する記事で整理できます。夕方や休日の訪問も想定する場合は、時間外連絡の担当を確認する記事と合わせて、連絡先が途切れないか確かめてください。

複数対応を決める人と、実際の手配を聞く

「必要なら二人で行きます」という回答には、必要性を判断する人と、同行者を確保する方法を追加で聞いてください。人がそろわない場合に、本人が一人で予定どおり訪問する前提になっていないかも確かめます。

2022年改訂の介護現場のハラスメント対策マニュアルは、訪問系サービスで事業所との連絡体制や管理者の同行、複数人での対応などを検討する例を示しています。これを、居宅ケアマネの全訪問で二人配置が義務になる説明や、訪問介護の二人派遣の費用をそのまま当てはめる説明には使えません。

出典:介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

たとえば、前回の訪問で出口をふさがれたと報告した場合、誰が状況を確認し、次の訪問方法を決めるのかを質問できます。担当変更、同行、訪問の時期や場所の再検討を誰が調整するかまで回答があれば、相談後の流れを具体的に追えます。

確認|退避と、以後のサービス提供方針は分ける

その場で身を守るための退避を、個別の契約終了やサービス提供拒否の判断と一緒にしないでください。以後の提供方針は、利用者への支援継続も含め、管理者等が関係する制度や契約、個別事情を確認して組織として検討する事項です。

記録の共有先と、対応後のフォローを確かめる

安全確保の後は、いつ、どこで、どんな行為があり、職員がどう対応したかを、職場の方法で記録します。本人の受け止めと確認できた事実を分けて伝えると、管理者が次の対応を検討しやすくなります。

記録には利用者や家族、職員の情報が含まれるため、共有先と保管先も確認してください。居宅介護支援の国基準には秘密保持の規定があり、この確認表に実名や住所、出来事の詳細を書いて公開サイトへ送る必要はありません。

出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

対応した後に、同じ職員へそのまま次回の訪問を任せるのか、面談や担当調整を行うのかも確認点です。相談したことを理由に不利益を受けない方針と、上司へ直接相談しにくい場合の窓口が職員へ伝わっているかを聞いてください。

出典:事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

訪問時の支援体制を確認する表

次は、応募先Aが訪問前後の支援を説明したという架空の完成例です。実際の利用者情報は使わず、職場の担当、使える支援、連絡がつかない場合の経路を記入しています。

不安が生じる段階職場の担当と方針使える支援・連絡経路不在時の代替と未確認
訪問前管理者が、過去に起きた具体的な行為と現在の対応を確認必要な情報を担当者へ共有。出口・連絡手段・同行の要否を打合せ管理者不在時は代行責任者。本人や家族の属性で危険判定しない
現場で危険を感じた時職員の安全確保を優先し、切迫時は退避と警察・救急への連絡安全な場所から緊急連絡先へ報告。管理者の返答を退避の条件にしない不通時は代行責任者へ。緊急連絡先一覧を受領予定
帰所後・安全確保後相談担当が口頭の報告を受け、管理者と事実を確認記録作成を手伝い、必要な担当調整や心身の相談先を案内管理者に話しにくい場合は法人相談窓口。共有先を限定
次回訪問前管理者が状況を再評価し、同行等の方法と提供方針を検討必要な同行者を管理者が手配。手配困難時も管理者が予定を再調整代行責任者が調整を引き継ぐ。単独で再訪する判断を本人へ任せない
架空の完成例。「受領予定」の資料は入職前の確認事項として残します。

二つの架空の回答から、支援の具体性を比べる

質問する場面応募先Aの回答応募先Bの回答
怖いと感じたが、分類は分からない相談担当が受け、具体的な事象を管理者と確認する「まず自分でうまく対応して」と説明。相談開始の条件が不明
現場で危険が迫った退避や緊急連絡を優先。安全な場所から報告する「一度上司へ電話」とだけ説明。不通時の行動は未回答
次回も訪問予定がある管理者が同行等の方法を決めて手配する「必要なら二人」と回答。決定者と手配方法が未回答
本人の次行動連絡先と資料を受領し、説明と運用が合うか確認して応募継続不通時の行動、同行の決定者、次回方針の担当を追加質問する
架空の回答比較。危険の程度や特定の利用者を採点する表ではありません。

Aでは、緊急連絡先と具体的な手順を受け取り、現場の説明と一致すれば候補として比較を続けられます。Bでは、未回答の点を管理者へ確認し、危険が迫る場面でも一人の判断と対処に任せる方針なら、その条件で働けるかを慎重に考えてください。

どちらの例でも、面接の回答だけで将来の安全が保証されるわけではありません。入職時の説明や同行時にも同じ支援を使えるか確認し、食い違いがあれば管理者や相談窓口へ伝えてください。

認知症による言動かもしれないときも、相談できますか。

ハラスメントに当たるか決められない段階でも、具体的な行為と困っている点を相談してください。症状の評価を職員一人で行わず、必要な関係者による検討と、その場の安全確保を分けて進めることが大切です。

二人で訪問できれば、安全対策は十分ですか。

同行できない日の対応、連絡先、退出できる経路、次回方針を決める人も確認が必要です。複数対応は支援の一つであり、危険が切迫したときにその場へとどまる理由にはなりません。

訪問先までの運転や事故対応は、訪問移動と車両条件を確認する記事で整理できます。現職で支援を求めても状況が変わらず、働き方を考え直したい場合は、ケアマネを辞めたいときの選択肢も参考にしてください。

この記事の執筆範囲

企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。

現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。

参考資料と確認日

本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。

出典:厚生労働省・職場におけるハラスメントの防止のために

出典:事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

出典:介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

出典:職員向け研修のための手引き

出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

書き込み用の資料

手元で整理する場合は、勤務と兼務の確認表(PDF)、ケアマネ勤務先比較表(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。

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