この記事は、指定居宅介護支援の事業所で働くケアマネが退職するときの引き継ぎを扱います。担当する仕事と正式な記録、残る期限を分け、法人が決める受領担当へ渡すための整理です。
先に書き出す場合は、担当と残作業を引き継ぐ表へ進んでください。利用者の個別情報を写さずに、仕事の種類と受領担当の確認状況を整理できます。
同じ事業所内の交代と、事業所の変更を分ける
同じ居宅介護支援事業所内で担当者が交代する場合と、利用者が別の事業所を選ぶ場合は分けて相談します。自分が転職することを理由に、利用者の事業所も自動的に変わるという前提で進めないでください。
指定居宅介護支援の基準第15条は、他事業所の利用を希望するなどの申出があった利用者への書類交付を定めています。この条文は、退職するケアマネが計画書を自由に持ち出して転職先へ渡せるという意味ではありません。
施設ケアマネや地域包括での引き継ぎは、それぞれのサービスや委託業務の基準を確認してください。本稿の居宅介護支援の条文をそのまま当てはめず、勤務先が定める記録管理と連絡の手順に沿って相談します。
法人の受領担当と、実際に仕事を担う担当を確認する
後任の名前がまだ決まらなくても、期限付きの仕事は先に一覧にできます。残作業の種類や期限、対応済みの内容と正式記録の保管先を整理しましょう。管理者には、法人としての受領担当を尋ねてください。
居宅介護支援の基準では管理者の一元的な管理と、事業者による勤務体制の確保が定められています。管理者へは資料を受け取る人に加えて、期限を管理する人と実務を行うケアマネをどう決めるか確認してください。
一人で担当している事業所では、一人ケアマネの不在時対応も確認の参考になります。普段の不在時に誰が連絡を受けるかを確かめると、退職前後に未定のまま残っている窓口を見つけられます。

担当と残作業を引き継ぐ完成例
次の表は2027年3月31日に退職を希望するケアマネが、3月19日に管理者と説明を行った架空の記入例です。表には仕事の種類と管理部署だけを記し、利用者名や病歴などの詳細は法人の正式な記録で確認します。
| 残る仕事と期限 | 法人が決める受領担当 | 正式記録の種類・管理部署 | 説明・受領確認と未回答 |
|---|---|---|---|
| 担当業務全体の交代/最終出勤までに受領を確認 | 管理者が一覧を受領。実務担当の割当ては管理者が決定 | 担当業務一覧/居宅部門のアクセス制限された共有領域 | 3月19日説明済み。管理者の閲覧確認済み。実務担当は回答待ち |
| 4月5日に確認を予定する業務/期限管理を引き継ぐ | 管理者が期限を管理。担当ケアマネの指定は未回答 | 予定表と対応経過/法人指定の介護記録システム・居宅部門 | 実施済みの範囲と残作業を説明済み。担当指定の回答日を3月22日に確認予定 |
| 利用者等への担当変更の説明/事業所が説明日を決定 | 管理者が説明担当と窓口を決める | 連絡経過/法人指定の介護記録システム・居宅部門 | 案内内容を管理者へ提出済み。誰が説明するかは未回答 |
| 他事業所への変更希望への対応/希望内容に応じて調整 | 管理者が書類交付と情報提供の担当を決める | 変更希望と交付の記録/居宅部門の正式管理資料 | 希望の受付まで記録済み。必要な同意と交付方法は法人内で確認中 |
この例では管理者が一覧を見たことは確認できても、実務担当の指定はまだ終わっていません。受領済みの範囲と未回答を分け、期限のある業務について誰が次の対応を決めるかを確認します。
正式記録の保管先と、進行状況を一緒に渡す
引き継ぎでは、計画や経過記録の正式な保管先を示し、どこまで対応したかを説明します。口頭の補足だけにせず、事業所のルールに沿って未完了の確認や次の予定を正式記録へ反映してください。
個人情報保護委員会のガイダンスは、事業者の安全管理措置と従業者の監督を求めています。記録を扱う範囲と方法は法人の規程に従い、受領担当が必要な記録を正式な権限で確認できるか確かめます。
計画、支援の経過、関係先との連絡などがどの正式資料に残っているかを確認します。個人用の引き継ぎ表へ内容を複写せず、法人内の管理部署と記録の種類を示してください。
対応済みの内容と、返答待ちや未着手の内容を分けて受領担当へ説明します。次に何を確かめる必要があるかと期限を、正式な管理資料でたどれる状態にします。
受領担当が正式記録を確認できたかと、説明が済んだ範囲を法人内に残します。実務担当の決定が残る場合は、その判断をする人と次の確認日を別に記録してください。
病歴や経過の組合せから個人が分かる場合もあるため、氏名を消しただけで安全と判断しないでください。私物端末や私用メール、個人のクラウドや生成AIへ写して引き継ぎ資料を作る方法は使わず、法人の正式な環境で作業します。
居宅介護支援の基準と解釈通知は、従業者でなくなった後の秘密保持に必要な措置も定めています。退職後に備えて利用者の記録や連絡先を個人で保存せず、問い合わせを受ける法人の窓口を確認してください。
出典:厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準、厚生労働省・居宅介護支援基準の解釈通知
ケース1|後任未定でも期限付きの業務が残る
架空のCさんは退職後の4月5日に確認予定の業務を抱えていますが、次の担当ケアマネが決まっていません。管理者へ正式記録の所在と残作業を説明し、期限管理と実務担当の決定を誰が担うか尋ねます。
回答Aが「管理者が受領し、指定したケアマネが対応する」という具体的な内容なら、Cさんはその担当へ説明を進めます。担当が正式記録を確認できたことと、期限を引き受けた範囲を法人内で確かめます。
回答Bが「後任が決まるまで一覧を置いておいてほしい」だけなら、引き継ぎ完了とは扱いません。管理者へ期限を管理する受領担当と決定予定を追加確認し、返答がなければ法人の上位責任者へ未回答のまま残っている業務を伝えます。
業務の受領担当を決める相談と、Cさん本人の退職の相談は分けます。退職の扱いで意見が合わない場合は、契約期間や申出の経緯を整理して公的な労働相談窓口へ相談してください。
ケース2|利用者から別の事業所へ書類を渡してほしいと言われた
架空のDさんは退職を予定しており、利用者から別の居宅介護支援事業所への変更希望を聞きました。Dさんは希望を法人の正式記録へ残し、書類交付と必要な情報提供を誰がどの手順で行うか管理者へ確認します。
| 追加回答の例 | 判断 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 回答A/法人が担当、利用者への交付方法、必要な同意と共有範囲を確認した | 法人の正式な手順で対応を進める | 指定された担当が交付・情報提供を行い、その経過を正式記録へ残す |
| 回答B/Dさんがコピーを持ち帰り、転職後に届けるよう言われた | その持ち出し方法での対応は保留 | 個人で運ばず、管理者と個人情報管理の担当へ法人内の正式な方法を再確認 |
利用者へ交付する書類と、他事業所へ情報を提供する手続は分けて確認します。変更先や連絡相手がまだ決まっていないなら、個人判断で送付せず、未確定の項目を法人の担当へ戻してください。
出典:厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準、個人情報保護委員会・医療介護個人情報ガイダンス
利用者等への説明と、退職後の窓口をそろえる
利用者や家族、関係する事業所への説明は、伝える内容と担当者を勤務先の管理者と確認します。後任が未定の間は決まっていない名前を約束せず、事業所の連絡窓口と次に説明する予定を確かめてください。
自分が居宅の管理者も兼ねている場合は、居宅管理者の後任要件と退職相談を分けて整理しましょう。担当利用者の業務を渡すことと、法人が管理者の配置や必要な届出を確認することは別の項目です。
最終出勤日が決まっていない場合は、退職と入職の日程整理で希望と未回答を並べられます。新職場へ相談する際は転職相談で伝える希望も使い、利用者の個別情報を含めずに自分の入職可能時期の確認状況を伝えてください。
- 資料を共有フォルダへ置けば引き継ぎは完了ですか。
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保存しただけでは、受領担当が見られるかや次の業務を引き受けたかが分かりません。法人が決めた担当と説明する範囲を確認し、期限管理と実務の担当が決まったかも残してください。
- 退職後に利用者から個人の連絡先へ相談が来たらどうしますか。
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まず退職前に、相談を受ける法人の窓口と案内方法を確認してください。個人の判断で記録を取り寄せたり対応を引き受けたりせず、確認した窓口へつなぐ形を法人とそろえます。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、退職・入職の引き継ぎ計画(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
