居宅介護支援事業所の管理者を辞めたいときは、自分の退職相談と法人の後任配置を分けて進めます。後任が見つからないという説明だけで、退職の相談を無期限に止める必要があるとは判断できません。
出典:厚生労働省・退職、解雇、雇止め、厚生労働省・解雇と合意退職・辞職の違い、厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準
まずは自分の退職と法人の確認事項を分ける表へ進んでください。契約と後任配置、届出と担当業務の受渡しを別々に記録できます。
後任の資格要件や指定上の手続は法人が確認する事項です。本人は契約と退職の意思を確かめ、引継ぎの受領者を法人と決めましょう。
本人の契約と法人の配置責任を分ける
居宅介護支援の基準では、指定事業者が事業所ごとに管理者を置くことを定めています。管理者を辞める本人に、後任の採用や指定の維持を一人で完了させる責任が移ると読む規定ではありません。
| 相談する事項 | 主に確認する相手 | 持ち寄る情報 |
|---|---|---|
| 退職の意思と日程 | 法人の人事・雇用契約の担当 | 契約期間、就業規則、伝えた内容と回答 |
| 後任の選任と資格要件 | 法人の運営責任者 | 配置案、就任予定、資格要件の確認状況 |
| 例外の取扱い・変更届 | 法人の担当から所在地の指定権者・保険者へ | 相談した制度、対象事業所、回答と必要書類 |
| 利用者対応と記録の受渡し | 法人が定めた受領者 | 期限が近い業務、未完了事項、正式な記録の所在 |
人事担当と運営担当が同じ人でも、議題を二つに分けると回答を追えます。「退職の申出への回答」と「法人として後任をどう配置するか」を別々に確認しましょう。
主任介護支援専門員の原則と二つの取扱い
管理者は原則として主任介護支援専門員である必要があります。主任介護支援専門員の確保が著しく困難な場合などの取扱いもありますが、後任がいないと伝えるだけで例外が適用されるわけではありません。
出典:厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準、厚生労働省・居宅管理者要件に関する通知
2020年6月5日の通知は、不測の事態で主任管理者を置けなくなった場合の理由と確保計画の届出を説明しています。不測の事態に当たるかは保険者が個別に判断するため、法人から該当性と必要な手続を確認します。
この取扱いでは要件適用の1年間の猶予が示され、特に必要な場合には保険者の判断による延長も記されています。本人が計画書を出せば必ず使える制度や、退職日を自分で保証できる制度とは扱えません。
2021年3月31日までに指定を受け、同日に非主任の管理者がいた事業所が対象です。その管理者が当該事業所で引き続き管理者である間に限り2027年3月31日まで要件適用を猶予する措置で、新任の後任や別事業所へそのまま移せません。2026年10月4日に確認した省令附則と通知に基づく説明です。
出典:厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準、厚生労働省・居宅管理者要件に関する通知
従前管理者の継続措置と、不測の事態などによる主任確保困難時の取扱いは対象が異なります。法人がどちらを前提にしているのかを確かめ、交代予定の事業所について指定権者へ現行の取扱いを照会してもらいましょう。
出典:厚生労働省・指定居宅介護支援の人員運営基準、厚生労働省・居宅管理者要件に関する通知
資格と役職の関係は主任ケアマネの役割を整理した記事でも確認できます。別事業所との兼務案が出ている場合は、居宅管理者の複数事業所兼務で管理に支障がないかを確かめる項目も確認してください。
退職日を一律の日数で決めない
雇用契約が無期か有期かを先に確認してください。厚生労働省は無期契約の辞職と合意退職を区別し、有期契約の途中退職には別の条件や例外があると説明しています。
出典:厚生労働省・退職、解雇、雇止め、厚生労働省・解雇と合意退職・辞職の違い
就業規則の相談期限、本人が伝えた意思、法人の回答も照合しましょう。後任不足を理由に退職できないと言われた場合や説明が食い違う場合は、契約書とやり取りの記録を用意して総合労働相談コーナーなどへ相談してください。
出典:厚生労働省・退職、解雇、雇止め、厚生労働省・解雇と合意退職・辞職の違い、厚生労働省・労働相談窓口
最終出勤日、退職日、次の入職日は退職と入職の日程を整理する記事で別々に検討できます。後任配置の回答が未着でも、自分の契約や希望日を確かめる作業は進められます。

自分の退職と法人の確認事項を分ける表
次の表は無期雇用で働く架空の管理者が、退職相談の前に作った完成例です。退職希望日はまだ合意・確定した日ではなく、後任の配置状況にも未回答が残っています。
| 本人が確認する契約と日程 | 法人が確認する後任・指定 | 担当と届出の受領窓口 | 回答状況と次の相談日 |
|---|---|---|---|
| 無期契約を契約書で確認。退職希望は11月30日 | 後任不足と本人の退職申出を別議題にする | 人事担当へ退職の意思と希望日を伝える | 日付は希望。10月9日の面談で回答を確認 |
| 最終出勤日は未定。引継ぎ可能な時間を整理 | 後任候補の資格要件と就任予定を確認 | 法人の運営責任者 | 後任候補は未決定。法人の検討状況を10月9日に聞く |
| 例外が使えるかを自分では判断しない | 主任を確保できない場合の該当性を指定権者へ照会 | 法人の届出担当 | 相談した記録と回答は未確認。照会担当と回答予定を聞く |
| 期限が近い業務と未完了事項を整理 | 利用者対応の担当、記録の受領者、届出を決める | 法人が指定する引継ぎの受領者 | 受領者は未決定。面談で指名を依頼 |
ケース1では「後任がいないので退職日は決められない」と言われた場面を想定しています。契約書では無期雇用と確認できましたが、退職の意思への回答と後任計画の説明が混ざっている状態です。
人事担当には「私の退職の申出への回答を、後任配置の検討とは分けて教えてください」と伝えます。運営責任者には、後任計画と指定権者への相談を誰が進めるかを聞きましょう。
回答Aとして本人の退職相談を別に扱うと確認できた場合は、希望日への回答と引継ぎの受領者を記録します。回答Bとして後任が決まるまで回答しないと言われた場合は、その説明を残して公的な労働相談へ進み、記事の表だけで退職日を確定させないでください。
非主任の職員へ交代すると説明されたら
ケース2は、非主任の職員へ交代すれば以前の経過措置が使えると説明された架空の場面です。交代者は新しく管理者になる予定であり、2021年3月31日時点の当該管理者が継続する条件と一致していません。
法人への質問は「従前管理者の継続措置と、主任確保困難時の取扱いのどちらを指していますか」です。該当する根拠と交代予定の事業所、指定権者の回答が分からない間は配置案が確認済みとは記録しません。
回答Aとして別の取扱いを指定権者へ相談中と分かった場合は、法人の担当と回答予定日を記録します。回答Bとして過去の措置をそのまま後任へ移せるという説明だけだった場合は、対象条件の照会を法人に求め、本人の退職相談は別に続けましょう。
記録と利用者対応は正式な受領者へ渡す
事業者は退職した従業者についても、利用者や家族の秘密が漏れないよう必要な措置を講じることとされています。自分の相談メモと業務上の利用者記録を分け、正式な記録は法人が認めた方法と受領者で引き継いでください。
変更届の必要書類は所在地の指定権者の案内を確認します。たとえば堺市は管理者変更の書類と、介護支援専門員の転出・退職に伴う届出を案内していますが、その様式を全国共通と考えないようにしましょう。
担当業務の受渡しはケアマネの引継ぎ計画で具体的に整理できます。後任を採用できるかとは別に、期限の近い業務と未完了事項を誰が受け取るかを法人と決めてください。
居宅管理者の退職についてよくある質問
- 後任の主任ケアマネを自分で探すまで辞められませんか。
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後任の選任と指定上の体制整備は法人が進める事項です。本人の退職については契約と意思表示を確認し、後任不足だけで話が進まない場合は公的な労働相談へ相談してください。
- 計画書を出せば必ず1年の猶予が認められますか。
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不測の事態に当たるかは保険者が個別に判断する取扱いです。法人から該当性と必要書類を確認し、届出だけで自動的に認められるとは考えないでください。
- 退職したら事業所は必ず閉鎖になりますか。
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後任配置や指定上の対応によるため、退職という事実だけで閉鎖が決まるとは説明できません。法人と指定権者が確認する事項として扱い、本人の退職相談と分けてください。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
出典:厚生労働省・労働相談窓口
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、主任ケアマネの管理者受諾確認表(PDF)、退職・入職の引き継ぎ計画(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
