※本記事は2026年8月時点の制度をもとに作成しています。介護報酬、加算要件、人員基準等は今後変更される可能性があります。実際の算定・転職判断では、厚生労働省、自治体、勤務先の最新情報をご確認ください。
- 2024年度改定と2026年度改定で居宅介護支援がどう変わったか
- 主任ケアマネの管理者要件・特定事業所加算との関係
- 主任ケアマネ求人で確認したい担当件数・待遇・研修支援
2026年、主任ケアマネを取り巻く制度はどう変わった?
主任介護支援専門員(以下、主任ケアマネ)を取り巻く制度は、2024年度介護報酬改定に加え、2026年度の期中改定によっても変化しています。
2024年度改定では、居宅介護支援の基本報酬、介護支援専門員1人当たりの取扱件数、ケアプランデータ連携システムの活用、特定事業所加算などが見直されました。
さらに2026年6月からは、これまで介護職員等処遇改善加算の対象外だった居宅介護支援にも、新たに処遇改善加算が設けられています。
一方、これらの制度変更だけを根拠に、主任ケアマネは全国的に空前の売り手市場であり、資格があれば年収600万円を狙える、と一律に判断することはできません。
求人の条件は地域、法人規模、管理者兼務の有無、担当件数、役割、手当などによって大きく異なります。本記事では、制度を正確に確認したうえで、主任ケアマネが転職先を比較するときの判断材料を整理します。
2024年度改定から2026年度改定までの主な変更点
| 項目 | 主な変更内容 |
|---|---|
| 居宅介護支援費 | 2024年度改定で基本報酬を引き上げ |
| 取扱件数 | 居宅介護支援費Ⅰは45件未満、Ⅱは50件未満へ基準を見直し |
| 居宅介護支援費Ⅱ | ケアプランデータ連携システム等の利用と事務職員の配置が要件 |
| 特定事業所加算Ⅰ | 505単位から519単位へ引き上げ |
| 処遇改善加算 | 2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援にも新設 |
| 管理者要件 | 原則として主任ケアマネ。一部既存事業所は2027年3月31日まで経過措置 |
出典:厚生労働省の令和6年度介護報酬改定資料、令和8年度介護報酬改定資料等
居宅介護支援の基本報酬は2024年度改定で引き上げ
2024年度介護報酬改定では、居宅介護支援費Ⅰ・Ⅱの基本報酬が引き上げられました。
| 区分 | 改定前 | 2024年度改定後 |
|---|---|---|
| 要介護1・2 | 1,076単位 | 1,086単位 |
| 要介護3~5 | 1,398単位 | 1,411単位 |
出典:厚生労働省:指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準
2026年度の期中改定では、居宅介護支援の基本報酬をさらに引き上げるのではなく、処遇改善加算の対象拡大などが行われています。
基本報酬の引き上げは事業所収入に影響しますが、それだけで主任ケアマネの採用余力や給与が自動的に増えるわけではありません。実際の経営状況は、利用者数、人員配置、人件費、加算取得状況などによって異なります。
特定事業所加算Ⅰは505単位から519単位へ
2024年度改定では、特定事業所加算(Ⅰ)が505単位から519単位へ14単位引き上げられました。 厚生労働省:令和6年度介護報酬改定資料
たとえば利用者40人、1単位10円として改定による増収額だけを単純計算すると、14単位×40人×12か月×10円=年間6万7,200円です。地域区分による単価差はこの試算に含めていません。
したがって、14単位の引き上げだけで年間約25万円の増収になる、という計算にはなりません。
また、特定事業所加算(Ⅰ)の算定には、常勤かつ専従の主任介護支援専門員を2名以上配置することを含め、複数の要件があります。主任ケアマネ1人を採用しただけで加算を算定できるわけではありません。
担当件数は44件と49件の違いを理解する
2024年度改定では、介護支援専門員1人当たりの取扱件数も見直されました。
居宅介護支援費Ⅰでは、介護支援専門員1人当たり45件未満、つまり44件までが逓減前の基準です。 厚生労働省:令和6年度介護報酬改定資料
居宅介護支援費Ⅱでは、50件未満、つまり49件までが逓減前の基準となります。ただし、居宅介護支援費Ⅱを算定するためには、ケアプランデータ連携システムまたは厚生労働省が同等と認めたシステムを利用し、かつ、事務職員を配置することなどの要件があります。 厚生労働省:居宅介護支援費に係るシステムの公募について
事務職員を置くか、システムを導入するかのどちらか一方で49件まで担当できる仕組みではありません。
転職先を比較するときは、求人票上の担当件数だけでなく、事業所が算定している居宅介護支援費の区分、ICTの実利用状況、事務職員との役割分担まで確認してください。
2026年6月から居宅介護支援にも処遇改善加算を新設
2026年度改定では、これまで処遇改善加算の対象外だった居宅介護支援・介護予防支援にも、介護職員等処遇改善加算が新設されました。
厚生労働省の令和8年度介護報酬改定資料では、居宅介護支援・介護予防支援の加算率は2.1%とされています。 厚生労働省:令和8年度介護報酬改定資料
ただし、加算を取得している事業所で働けば、主任ケアマネ本人に一定額が自動的に支給されるという制度ではありません。取得要件や事業所の賃金改善計画に基づき、実際の賃金への反映方法は事業所ごとに異なります。
転職時には処遇改善加算の取得有無だけでなく、基本給、資格手当、管理者手当、賞与などにどのように反映しているかを確認しましょう。
主任ケアマネ求人を見る前に確認したい管理者要件
指定居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員である必要があります。主任ケアマネの研修要件や管理者要件そのものを詳しく確認したい方は、【2026年版】主任ケアマネになるには?研修・更新・管理者要件を解説もあわせてご覧ください。
ただし、これは2027年から新しく始まる義務ではありません。
2021年3月31日時点で主任介護支援専門員ではない者が管理者であり、その者が引き続き管理者を務めている一部の事業所については、2027年3月31日まで経過措置が設けられています。 厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
また、主任介護支援専門員の確保が著しく困難であるなど、やむを得ない理由がある場合には、保険者への届出等によって例外的な取扱いが認められる場合もあります。
したがって、主任ケアマネが1人辞めれば事業所を必ず閉鎖しなければならない、とは限りません。一方で、管理者要件を満たす人材の確保が採用上の重要課題になる事業所があることも事実です。
特定事業所加算と主任ケアマネの価値を混同しない
主任ケアマネは、特定事業所加算の一部区分における人員配置要件として重要な存在です。
しかし、特定事業所加算の収入全体を、主任ケアマネ1人の経済的価値や手当額へそのまま置き換えることはできません。
加算の算定には、主任ケアマネ以外の介護支援専門員の配置、会議、研修、24時間連絡体制、困難事例への対応など、複数の要件があります。
そのため、主任資格を持っていることだけを理由に加算収入の一部を自分の給与へ上乗せしてほしいと交渉するより、管理者としての業務、人材育成、加算管理、事例検討、地域連携など、実際に担える役割を待遇の根拠として整理する方が適切です。
2026年の主任ケアマネ求人をどう評価するか
主任ケアマネを募集する求人には、管理者候補の確保、退職者の補充、特定事業所加算の人員要件、他のケアマネジャーの育成など、さまざまな背景があります。
一方、主任ケアマネだけを対象にした全国統一の有効求人倍率を示す公的統計は確認できません。
そのため、主任ケアマネ求人が全国で爆発的に増加している、2026年は間違いなく売り手市場である、と断定するのは適切ではありません。
実際の求人状況は地域差が大きいため、自分が働きたい地域で、主任ケアマネを条件とする求人が何件あるか、どのような役割と待遇で募集されているかを確認することが重要です。
主任ケアマネの待遇は手当額だけで判断しない
主任ケアマネだけを対象とした全国統一の平均年収や、主任手当の相場を示す公的統計は確認できません。
法人によって、主任手当を別途支給する場合、管理者手当として支給する場合、基本給や役割給に含める場合など、処遇方法は異なります。
そのため、主任手当は月3万~5万円が相場、5,000円なら明らかに低い、と手当額だけで判断するのは避けましょう。
次の項目をまとめて比較してください。
- 基本給
- 主任ケアマネ手当・管理者手当
- 賞与の算定方法
- 管理者兼務の有無
- ケアマネとしての担当件数
- 時間外労働・休日対応
- 主任研修・更新研修等への支援
主任ケアマネが転職先を選ぶときの6つの確認ポイント
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 管理者兼務 | 管理業務とケアマネ業務の割合 |
| 担当件数 | 管理者兼務時にも何件担当するのか |
| 加算 | 取得区分と主任ケアマネに期待する役割 |
| ICT・事務支援 | システムの実利用状況と事務職員との分担 |
| 研修支援 | 費用負担、勤務扱い、代替要員 |
| 労働条件 | 基本給、手当、賞与、残業、休日対応 |
1.管理者として何を任されるのか
主任ケアマネ兼管理者という求人でも、実際の仕事内容は法人によって異なります。
職員の勤怠管理、採用、人材育成、加算管理、請求確認、行政対応まで担うのか。それともケアマネ業務が中心で、一部の管理業務のみ担当するのかを確認してください。
2.管理者兼務時の担当件数
管理者になっても、個人として多数の利用者を担当する求人があります。
管理業務に必要な時間を確保できないほど担当件数が多い場合、時間外労働や持ち帰り業務につながる可能性があります。主任ケアマネが抱えやすい担当件数・指導・管理者兼務の負担については、主任ケアマネの負担を減らす方法|担当件数・指導・更新研修の実務対策で詳しく整理しています。
管理者になった場合の標準担当件数に加えて、欠員時に担当件数が増えるのかまで確認しましょう。
3.特定事業所加算の取得区分と役割
特定事業所加算の取得状況は、事業所の人員配置や運営体制を理解する材料の一つです。
ただし、加算を取得していないことだけで、経営が不安定・給与が低いと判断することはできません。
面接では、現在取得している加算区分と、主任ケアマネに期待している役割を確認するとよいでしょう。
4.ICTは導入の有無より実際の使い方を見る
ケアプランデータ連携システムなどのICT活用状況は、業務フローを確認する重要な材料です。
ただし、システムを導入しているだけで業務負担が軽いとは限りません。二重入力が残っていないか、サービス事業所とのデータ連携をどこまで行っているか、事務職員とどう分担しているかを確認してください。
ケアプランデータ連携システム等を実際にどの業務で利用しているかを確認すると、導入の有無だけでは分からない実態を把握しやすくなります。
5.主任研修・更新研修等への支援
研修に関する費用、受講時間、実施形式は地域や研修機関によって異なります。
転職時には、受講費用を法人が負担するか、受講日が勤務扱いになるか、研修参加時に代替要員を確保できるかを確認してください。
これらは求職者本人が確認しても問題ありません。転職エージェントを利用している場合は、企業への確認を依頼する方法もあります。
6.最終的な労働条件を書面で確認する
求人票に掲載された給与だけで入職を決めず、最終的な労働条件を書面で確認してください。
- 基本給と各種手当
- 固定残業代の有無と対象時間
- 賞与の算定方法
- 試用期間中の条件
- 勤務時間・休日
- 就業場所・業務内容の変更範囲
主任ケアマネとして評価される経験を整理する
主任ケアマネの転職では、資格名だけでなく、実際にどのような役割を担ってきたかを整理することが重要です。面接での伝え方や質問への備えは、ケアマネの転職面接で聞かれる質問10選|回答例と逆質問も参考になります。
職務経歴書や面接では、次のような経験を具体化してください。
- 他のケアマネジャーへの助言・育成
- 事例検討会や研修の企画・運営
- 困難事例への支援
- 医療機関・地域包括支援センター等との連携
- 加算要件や事業所運営への関与
- 管理者としての業務管理・人材育成
数値を記載する場合は、実際に記録・確認できるものだけを使います。担当した役割、具体的な行動、確認できる結果の順に整理すると、経験を伝えやすくなります。
主任ケアマネのキャリアは管理者だけではない
他のケアマネジャーの育成を担う
主任ケアマネの重要な役割の一つが、他のケアマネジャーへの助言・育成です。
スーパービジョン、事例検討、研修企画などの経験を積むことで、管理者とは異なる専門性を深めることができます。
地域包括支援センターなど地域支援へ広げる
主任ケアマネの経験は、地域包括支援センターなど、地域のケアマネジメント支援を担う仕事にもつながります。
地域ケア会議、関係機関とのネットワークづくり、地域課題への対応などに関心がある方には、キャリアの選択肢になります。
居宅介護支援事業所の開設を検討する
主任ケアマネは居宅介護支援事業所の管理者要件を満たすため、将来的に事業所の開設を検討することもできます。
ただし、主任資格があれば事業として成功するわけではありません。法人設立、指定申請、人材確保、利用者獲得、資金繰り、法令遵守など、経営者としての準備が必要です。
主任ケアマネ求人の情報をどう集めるか
主任ケアマネや管理者求人を探す方法には、法人の採用ページ、ハローワーク、求人サイト、転職エージェントなどがあります。
どの方法を使う場合も、求人件数だけではなく、管理者兼務、担当件数、加算取得状況、研修支援、給与内訳など、求人票に書かれていない条件を確認することが重要です。
転職エージェントを利用する場合は、担当者が居宅介護支援事業所の制度や主任ケアマネの役割を理解し、求人企業へ具体的な質問ができるかを確認してください。
複数社への登録が常に必要とは限りません。直接応募を含め、自分が必要な情報を得られる方法を選びましょう。
主任ケアマネの転職は資格より役割と条件を比較する
主任ケアマネは、居宅介護支援事業所の管理者、人材育成、地域連携、特定事業所加算の人員要件などで重要な役割を持ちます。
一方、資格を持っているだけで好条件の転職や年収アップが保証されるわけではありません。
転職を考える場合は、現在の待遇と求人条件を同じ項目に分解して比較してください。特に、管理者兼務の有無、担当件数、基本給・手当・賞与、研修支援、ICT・事務体制は重要です。
現在の職場に残る方がよい場合もあれば、別の環境で主任ケアマネとしての経験を広げる方がよい場合もあります。
市場価値の高さだけではなく、担う役割と納得できる労働条件を基準に判断しましょう。
参考にした主な公的資料
- 厚生労働省:令和6年度介護報酬改定について
- 厚生労働省:指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準
- 厚生労働省:令和8年度介護報酬改定について
- 厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
- 厚生労働省:居宅介護支援費に係るシステムの公募について
- 50代ですが、今から主任ケアマネとして転職して年収アップは可能ですか?
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可能性はありますが、年齢や主任ケアマネ資格だけで判断することはできません。転職時の待遇は、地域、管理者経験、担当できる業務、人材育成経験、管理者兼務の有無などによって異なります。50代なら年収○万円以上と一律に考えず、希望地域の実際の求人条件と現在の年収を比較してください。
- 今の職場では主任手当が月5,000円です。これは相場より低いでしょうか?
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月5,000円という主任手当だけで、相場より低いと断定することはできません。主任ケアマネ手当の全国統一相場を示す公的統計はなく、基本給や管理者手当、役割給などに含めて処遇している法人もあります。基本給、賞与、想定年収、担当件数、管理者兼務、時間外労働、研修支援まで含めて、現在の責任に見合った待遇かを判断してください。
- ケアプランデータ連携システムを導入していない事業所は避けるべきですか?
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導入していないことだけで避ける必要はありません。ケアプランデータ連携システムは、業務効率化や居宅介護支援費Ⅱの算定などに関係する重要な仕組みですが、実際の働きやすさは、システムの利用状況、事務職員との分担、担当件数、残業、他のICT環境などにも左右されます。求人を比較するときは、導入の有無だけでなく、どの業務で実際に使っているか、事務作業がどのように分担されているかまで確認してください。
