育児や家族の介護を理由に転職を考えるときは、必要な支援と、それを使いたい時期を先に整理してください。「入職直後は制度を使えない」「時短なら給付も受けられる」とまとめず、休業・休暇・勤務調整と給付を分けて確認すると、現職と転職先を比べやすくなります。
現職と応募先を並べたい方は、制度を使う時期を確認する表へ進めます。制度ごとの対象条件と、勤務先に聞くこと・給付窓口に聞くことを分けた仮想記入例を載せています。
まとまった休み、短い休暇、毎日の調整を分ける
| 必要な支援 | 確認する制度の入口 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 一定期間、仕事を休みたい | 育児休業・介護休業など | 休み始めたい時期と必要な期間、雇用契約の見通し |
| 通院への付き添いや子の行事等で短く休みたい | 介護休暇・子の看護等休暇など | 利用目的が制度の対象か、日・時間など必要な単位 |
| 日々の働く時間帯や時間数を調整したい | 短時間勤務等、柔軟な働き方の措置、勤務先独自の制度 | 必要な時間帯と継続する期間、勤務先が設けている措置 |
家族の介護で使う「介護休業」と「介護休暇」は、名前が似ていても条件が同じではありません。育児でも、まとまって休む制度と、短い休暇、働く時間を変える措置を分けて、必要な時期に使えるかを確かめます。
休業と休暇の勤続条件を、一括りにしない
育児休業と介護休業では、対象となる子や家族、契約の見通し等に加え、労使協定による除外があるかを確認します。継続雇用1年未満等を対象外とする労使協定の仕組みがあるため、転職直後に使えるかは、勤続期間だけでも制度名だけでも判断できません。
一方、子の看護等休暇と介護休暇では、2025年4月から、継続雇用6か月未満の人を労使協定で除外する仕組みが撤廃されています。この変更を、育児休業・介護休業の1年未満に関する仕組みまでなくなったという意味に広げないでください。
出典:厚生労働省・介護両立支援改正ポイント、厚生労働省・育児関係の改正ポイント
| 制度 | 対象を確認する点 | 転職前に聞く点 |
|---|---|---|
| 育児休業 | 対象となる子、日々雇用に当たるか、有期契約の満了・更新の見通し等 | 継続雇用1年未満等を対象外とする労使協定があるか。利用開始日までに必要な申出は何か |
| 介護休業 | 対象家族と制度上の状態、有期契約の満了・更新の見通し等 | 1年未満等の協定除外、必要な休業時期と申出方法を確認する |
| 子の看護等休暇・介護休暇 | それぞれの対象となる子・家族、利用目的、取得単位等 | 6か月未満除外の撤廃を踏まえ、週所定労働日数等の条件と勤務先の手続きを確認する |
子の看護等休暇の対象は小学3年生修了までで、病気の看護以外にも、定められた予防接種・健診や行事等の事由があります。学校行事ならすべて対象と考えず、使いたい目的が当てはまるかを公式案内と勤務先で確かめてください。
勤務時間を変える制度も、対象と選べる措置が違う
勤務先に「時短制度があります」と言われたら、制度名、対象となる子や家族、使える時間帯と期間を尋ねます。育児の短時間勤務、3歳から就学前の柔軟な働き方の措置、介護の短時間勤務等を同じ条件と考えないでください。
| 制度の入口 | 公式制度の主な区分 | 勤務先へ確認すること |
|---|---|---|
| 3歳未満の子の育児短時間勤務 | 所定労働時間等の対象要件があり、1年未満等の協定除外や、困難な業務への代替措置も規定されている | 自分の職務に適用される制度、協定、代替措置、利用できる時間帯 |
| 3歳から小学校就学前の柔軟な働き方 | 事業主が法定メニューから2つ以上の措置を選んで設け、労働者はその中から1つを選ぶ | 勤務先が選んだ措置、対象者、1年未満等の協定除外、申出方法 |
| 家族介護の短時間勤務等 | 事業主が短時間勤務等の措置から1つ以上を設ける仕組み。協定除外も確認する | どの措置があり、必要な時期・働き方に対応するか。育児と同じ6時間勤務と決めつけない |
出典:厚生労働省・育児短時間勤務等、厚生労働省・柔軟な働き方を実現する措置、厚生労働省・介護短時間勤務等
契約の所定時間が短くなるのか、日々の勤務調整なのかは、勤務日と所定時間を比べる方法でそろえて確認できます。有期契約で働く場合は、契約更新と満了の時間軸も読み、制度を使う予定時点の契約を確かめてください。

制度を使う時期を確認する表
次の表は、転職を検討する二人の仮想例です。家族の病名や子の詳しい生年月日を公開用のメモへ書き込まず、まず必要な支援・時期・確認する制度を整理してください。
| 必要な支援と時期 | 制度名と現職の確認内容 | 転職先の対象条件・未確認 | 申出先と給付の別確認 |
|---|---|---|---|
| Aさん:入職から約3か月後に家族介護でまとまった休みが必要になる見込み | 現職の介護休業と勤務調整の条件を人事へ確認中 | 介護休業の1年未満等の協定除外があるか、独自制度があるかは未確認 | 現職・応募先の人事へ制度利用を確認。休業中の賃金と給付の手続きも分けて聞く |
| Aさん:同じ時期に短い付き添いの休みも必要 | 介護休暇の対象、日・時間の単位、申出方法を確認する | まとまった休業の回答とは別に、介護休暇の対象条件を確認する | 勤務先の担当へ確認。短い休暇が取れることだけで、必要な連続休業が確保できたとしない |
| Bさん:2歳未満の子の育児で、転職先では週所定労働時間を短くする予定 | 現職の週所定労働時間と、これまでの雇用保険加入の確認資料を整理する | 新しい契約の週所定時間、利用する制度、対象条件と申出方法が未確認 | 勤務条件は応募先人事、育児時短就業給付金の受給要件はハローワークへ別に確認する |
仮想例1 入職から約3か月後に介護休業が必要になる
Aさんは「介護休暇は入職後まもなくでも検討できます」と説明されましたが、必要なのはまとまった期間の休みです。短い介護休暇についての回答だけで予定が立ったと考えず、介護休業の対象と労使協定、現職で使える制度を別に確認します。
応募先から、協定による除外に当たらず、他の対象条件と申出方法も確認できたという回答があれば、必要時期に使うための準備を具体化できます。1年未満の協定除外に該当すると説明された場合は、勤務先独自の制度や勤務調整を確認し、現職での利用や入職時期も並べ直して検討してください。
「介護制度は全部1年経たないと使えない」という説明なら、どの制度のどの条件かを聞き直します。回答を得られない場合や、利用開始の時期が迫っている場合は、勤務先への確認と並行して都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談してください。
出典:厚生労働省・介護休業、厚生労働省・介護両立支援改正ポイント
制度利用と給付の条件を別々に確認する
勤務先で休業や勤務調整を利用できることと、雇用保険の給付を受けられることは別の確認です。育児休業等給付では、休業・時短の状態に加えて、雇用保険の被保険者期間などの条件があります。
例えば育児時短就業給付金は、2歳未満の子のために週所定労働時間を短くして働く被保険者であることなどが受給資格の条件です。3歳未満を対象とする育児短時間勤務の制度が使えるからといって、同じ期間の給付まで受けられるとは限りません。
また、厚生労働省のQ&Aは、育児のための転職で週所定労働時間が短くなる場合についても説明しています。新しい勤務先での勤続期間だけで給付の対象外と決めず、過去の被保険者期間や対象となる期間を確認できる資料の種類を、ハローワークへ尋ねてください。
仮想例2 転職先で週の所定時間を短くする
Bさんは育児のために勤務時間を短くする予定ですが、新しい勤務先で使う制度と給付の確認はまだ済んでいません。勤務条件を確かめる表と、ハローワークへ給付を確認するメモを分け、法人から「時短で働ける」と回答された段階で給付額を見込まないようにします。
| Bさんが受けた回答例 | まだ残る確認 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 応募先から、希望する週所定時間と利用制度が示された | 子の年齢帯や申出、協定等の対象条件。給付は別の要件が未確認 | 適用される勤務条件を文書で確認し、給付の対象となる期間と被保険者記録はハローワークへ照会 |
| 勤務先の制度は対象外だが、別の勤務条件を相談できる | 希望する時間帯・日数で契約できるか、その場合の制度と給付の扱い | 代替案の条件を整理して再比較。勤務の合意だけで給付も認められるとしない |
| 給付の受給要件に不足がある、又はまだ確認できない | 必要な資料と、どの要件が不足・未確認なのか | 給付が支給される前提で収入計画を確定せず、ハローワークで確認し、現職の制度や転職時期を再検討 |
確認した制度と、実際の勤務条件をそろえる
勤務先独自の有利な制度が使える場合は、その対象と手続きを記録します。一方、独自制度がないことだけで法定制度の対象者まで利用できなくなるわけではないため、制度の区分が曖昧なら法定条件と勤務先の措置を分けて確認してください。
出典:厚生労働省・育児休業
内定後は、施設長・管理職の条件照合で、説明された勤務時間や職務が最終条件と一致するかを確かめられます。ケアマネとして働く場合も、仕事や職場の不満を分ける転職判断を参考に、現職の調整と勤務先を変える案を比べてください。
役職を外して働く案がある場合は、一般職へ戻る条件の比較で、勤務の変更と責任の残り方を確認できます。役職名だけが変わるのか、必要な時間の調整まで実現するのかを、制度の確認と合わせて考えてください。
- 転職して1年経つまで、育児・介護の制度は全部使えませんか
-
すべてを一括して判断することはできません。休業、休暇、勤務調整ごとの対象要件と労使協定、勤務先独自の制度を確認し、必要な時期と照らしてください。
- 時短勤務が認められれば、育児時短就業給付金も受けられますか
-
勤務先での働き方と、給付の受給資格・支給要件は別です。子の対象年齢、週所定労働時間、被保険者期間等をハローワークへ確認し、この記事だけで受給可否や額を決めないでください。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
出典:厚生労働省・育児休業
出典:厚生労働省・介護休業
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、勤務と兼務の確認表(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
