複数の内定を比べるときは、先に「満たせなければ働き続けられない条件」を確かめ、その後で希望条件を比べてください。給与や通勤の良さを足し合わせても、重要な条件が未確認の候補を選べる状態にはなりません。
確認表から読む場合は、複数内定の条件と未確認の比較例をご覧ください。本文の前提と注意点も合わせて確認できます。
一社ごとの説明の食い違いを解消したら、同じ項目、同じ期間、本人に適用する条件で横に並べます。この記事では、条件に一長一短があり、返答期限も異なる場合の比較と追加確認を扱います。
必須条件を満たしている候補、合っていない候補、まだ分からない候補を分けます。そのうえで、調整できる希望にどんな差があるかを比較してください。
各社の本人向け条件と、回答の日付をそろえる
比較に使うのは、応募時の募集資料だけでなく、本人への提示条件と追加質問への回答です。ハローワーク浦和も、契約時の具体的な条件が求人票と違っていないかを確認するよう案内しています。
条件が更新されたら、古い提示を消さずに新しい資料の日付と変更箇所を残します。A社は更新後の個別回答、B社は募集時の見込み額、という状態では金額だけを並べても判断できません。
| 比較する項目 | そろえる前提 | そろわないとき |
|---|---|---|
| 給与 | 税引前か手取りか、月額か年額か、固定部分と条件付き部分 | 不明の手当・賞与を0円や支給確定として計算しない |
| 勤務 | 本人の曜日・時間、通常時と例外時、適用する期間 | 通常週の予定と、欠員月の実績を同じ数字として比べない |
| 職務 | 配属先、開始時の担当、兼務、決裁・支援 | 役職名が同じでも本人が担う範囲を別に確かめる |
| 返答期限 | 誰から、何月何日何時までと伝えられたか | 希望する延長日と、相手が認めた期限を分ける |
厚生労働省のモデル労働条件通知書には、勤務、賃金、就業場所・業務の変更範囲などを確認する欄があります。全欄を一律の記載義務とするのではなく、自分に適用する条件書面と規程を各社で確かめてください。
必須条件と、調整できる希望を先に決める
必須条件は、候補が魅力的に見える前にできるだけ具体化します。「休みが多い」より「毎週水曜は勤務できない」、「給与を維持したい」より「税引前の月額固定分が一定額以上必要」と書く方が、回答と照合できます。
調整できる希望には、許容できる範囲と優先順位を書いておきます。条件の見直しが必要になったときも、候補の印象に流されて基準を消さず、自分の事情が変わったのかを確かめます。
| 条件の扱い | 自分で決める内容 | 比較での使い方 |
|---|---|---|
| 必須条件 | 働き続けるために必要な曜日、金額、職務の範囲など | 一つでも不一致なら、変更できるかを先に確認する |
| 調整できる希望 | 通勤の許容範囲、経験したい職務、研修の希望など | 必須条件を満たす候補同士で優先する理由を考える |
| まだ自分でも決められない条件 | 新しい役割を受ける範囲、転居の可否など | 自分側の未決定として残し、確認に必要な情報を集める |
「未確認」と「合わない」も区別してください。未確認は回答が得られれば候補に戻る可能性がありますが、不一致は希望の変更か法人側の条件変更がない限り残ります。

給与が高いA社と、勤務条件が確認できたB社を比べる例
次は、ケアマネが二つの内定を比較する仮想例です。本人は毎週水曜に勤務しないことと、税引前の月額固定分が28万円以上であることを必須条件にしています。
この例の月額固定分は、基本給と毎月固定の手当を足した同じ範囲で、固定残業代、賞与、通勤費、回数で変わる手当は含めません。金額は全て説明用で、実際の求人や相場を示していません。
| 項目 | A社の回答 | B社の回答 | 現時点の扱い |
|---|---|---|---|
| 月額固定分28万円以上 | 30万円。本人宛て条件書面 | 28万円。本人宛て条件書面 | 両社ともこの条件は一致 |
| 毎週水曜に勤務しない | 面接で「調整できると思う」 | 本人の勤務曜日として水曜勤務なしを確認 | Aは未確認、Bは確認済み |
| 片道通勤時間 | 45分。本人が同じ時間帯の経路で確認 | 25分。同じ条件で確認 | 希望条件として比較できる |
| 経験したい業務 | 退院時の連携を担当する予定 | まず既存利用者を担当 | 希望条件。開始時期・支援は別に確認 |
A社の金額が高くても、水曜の勤務条件が未確認なら、必須条件を満たすとは扱えません。採用窓口へ「本人の勤務曜日として、水曜勤務なしを条件にできるか」と聞き、調整の見込みではなく本人への回答を求めます。
仮にA社が「月に一度は水曜勤務が必要」と回答したら、本人の必須条件と不一致です。条件変更ができない場合、B社を中心に検討する理由は「給与差」ではなく「必要な曜日条件が確認できたこと」と説明できます。
反対に、A社から水曜勤務なしを本人の条件として確認できたなら、両社とも必須条件を満たす候補に戻ります。その段階で通勤の長さ、新しい業務の開始時期、相談できる人を比べ、どの希望を優先するかを決めます。入職月や賞与が違う候補は、転職初年度の年収比較で、比べる期間と未確認の額をそろえてください。
確認済みでも、根拠の強さと残る不明点を残す
確認済みという印の横には、書面、具体的なメール回答、面接の予定説明など、根拠の種類を残してください。同じ印だけを並べると、決定した条件と今後の見込みを区別できなくなります。
| 状態 | 記録の例 | 次にすること |
|---|---|---|
| 確認済み | 本人の勤務曜日を条件書面で確認した | 適用開始日と例外の説明がないか照合する |
| 相違あり | 面接では兼務なし、個別提示では兼務あり | 最終的な本人の条件を決める部署へ確認する |
| 未確認 | 研修中の相談担当について回答がない | 質問、回答予定日、判断への影響を残す |
| 対象外 | 本人の職務では夜間当番を担当しないと具体的に確認 | 空欄にせず、対象外とした回答を残す |
職務や支援について重要な不明点が残るときは、給与と通勤だけで決めないようにします。どちらの候補にも必要な支援がないと分かったなら、二社のどちらかを必ず選ぶのではなく、候補を広げる判断もできます。
内定先を比べている間に現職から引き留めの提案があった場合は、退職理由と改善提案を照合する手順も参照できます。現職で変わる条件を確認し、内定先へすでに伝えた内容と、これから返答する内容を分けて整理してください。
返答期限が違うときは、条件確認と期限相談を分ける
次は、A社の返答期限が10月12日17時、B社が10月16日17時という仮想例です。10月10日時点で、A社の勤務曜日に関する回答がまだなく、本人はその回答を見てから比較したいと考えています。
| 連絡の目的 | 伝える内容の例 | 回答を得た後の記録 |
|---|---|---|
| 条件の追加確認 | 水曜勤務なしを本人の条件にできるか、回答予定日を教えてください | 回答する部署、予定日、確定した内容 |
| 返答期限の相談 | 勤務条件の回答を確認して判断したいため、返答期限を10月14日17時まで変更できますか | 変更が認められたか、新しい期限 |
| 予定より回答が遅れた場合 | 必要な条件がまだ確認できていないため、現時点で回答可能な内容を教えてください | 重要な未確認が残ることと、自分が選んだ次の行動 |
A社が期限変更を認めたなら、その回答と新しい期限を残して比較を続けます。条件の回答日が延びただけでは内定への返答期限も延びたとは扱わず、両方を別々に確認してください。
A社が「期限変更はできない」と答え、勤務条件も不明のままなら、その不明点を引き受けて判断できるかを考えます。本人にとって水曜勤務なしが外せないなら、条件がそろっていないことを理由にA社を選ばない、という整理ができます。
他社の返答期限が遅いことだけで、先の会社に延長が認められるとは限りません。相談では比較のために不足している情報と必要な時間を伝え、受諾の意思を伝える連絡とは分けてください。
候補ごとに入職の希望日が違う場合は、現職と新職場の条件から日程を組み立てる手順を使って整理できます。内定への返答期限とは別に、退職や引き継ぎで確認が残る日程を書き出してください。
最後は、選ぶ理由と残す条件を一文にする
比較が終わったら、「どの必須条件が確認でき、どの希望を優先したか」を一文で書いてみます。「雰囲気がよかった」だけより、自分が納得している根拠と残った不安を説明できます。
| 判断の方向 | 理由の書き方の仮想例 | 残しておく記録 |
|---|---|---|
| B社を選ぶ方向で確認を終える | 必要な曜日と月額固定分が確認でき、通勤の短さを優先した | 本人の条件書面、回答、判断した日 |
| A社へ再確認する | 希望する業務は合うが、勤務曜日が未確認なので回答を待つ | 質問先、回答予定、内定への返答期限 |
| 候補を広げる | 両社とも必須の勤務条件を満たさず、変更も難しいと確認した | 不一致となった条件と法人側の回答 |
選択の理由が書けても、実際に意思を伝える前には、最終条件と回答期限をもう一度読み合わせます。内定承諾や辞退の法的な扱いに個別の疑問がある場合は、この比較表だけで結論を出さず、経緯と書面をそろえて相談してください。受諾前は職務に合わせて施設長の最終条件と職務権限またはケアマネの担当と勤務条件を照合し、残る相違を窓口へ確認できます。
よくある質問
- 条件に点数を付ける方法は使えませんか。
-
希望の優先順位を考える補助として使うことはできますが、必須条件の不一致や重要な未確認を他の高得点で相殺しないようにします。先に必要条件の確認を終え、比較できる候補の間で使ってください。
- 給与は高い方を選ぶべきですか。
-
金額だけでは勤務できる曜日、担当範囲、支援の適合を判断できません。同じ期間と支給条件で給与を比べ、必須条件がそろった後に自分の優先順位で選んでください。
- 期限までに二社を比べきれない場合はどうしますか。
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不足情報への回答予定と、内定への返答期限の変更可否をそれぞれ確認します。延長ができなければ、重要な不明点を残したまま判断できるかを考え、未確認を確認済みに変えて決めないようにします。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、年収条件の分解比較表(PDF)、内定条件三点照合表(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
