応募先の公表情報を読むと、職員数や研修の記載から、面接で確かめたいことを具体化できます。ただし、掲載された数値だけで働きやすさを決めると、別の事業所や過去の体制を比べてしまうことがあります。
確認表から読む場合は、公表情報から追加質問を作る記入例をご覧ください。本文の前提と注意点も合わせて確認できます。
確認する順番は、事業所の特定、項目の定義と対象時点、未確認事項、採用側への質問です。この記事では、介護サービス情報公表システムの情報を、自分の働き方を確かめる質問へ変える方法を説明します。
介護サービス情報公表制度は、利用者がサービスや事業所を選ぶための制度です。就職先としての評価や、自分に適用される労働条件の保証としては使えないため、気になる記載は現在の運用を聞く材料にしてください。
施設名だけでなく、法人・所在地・サービスをそろえる
同じ建物や同じ法人に、通所介護、訪問介護、居宅介護支援などが併設されている場合があります。施設名が似ていても、応募する職種が所属する事業所と、開いている公表情報が一致するとは限りません。
事業所名、運営法人、所在地、介護サービスの種類、介護保険事業所番号を一組で確かめます。法人番号は法人を確認する情報なので、事業所番号の代わりには使わないでください。
出典:東京都介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」記載要領
| 照合するもの | そろえる内容 | 一致しないときの質問 |
|---|---|---|
| 法人・所在地 | 運営法人と勤務予定地を分けて確認 | 雇用契約を結ぶ法人と、配属予定の事業所はどこですか |
| サービス種類 | 応募先が担当する指定サービス | 併設サービスのうち、今回の採用で担当するのはどれですか |
| 事業所番号 | 対象のサービスと番号を一緒に確認 | この公表ページは、今回の配属先の情報で合っていますか |
施設長・管理者の募集では、複数サービスの管理や別拠点との兼務が含まれるかも確かめたいところです。公表ページを一つ見ただけで担当範囲を決めず、採用窓口へ役割の範囲を確認し、必要な事業所の情報を分けて読みます。
資料を読んだ日と、情報の対象日を分けて残す
厚生労働省は、制度の目的を利用者による事業所選択の支援と説明しています。制度ページには2026年8月14日の通知改正が掲載されていますが、その日付が個々の事業所情報の対象日になるわけではありません。
出典:厚生労働省「介護サービス情報の公表制度」、厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1535」
公表情報を読んだ日、記入・報告・更新に関する日付、各項目の対象日や対象期間は別々に確認してください。前年度の採用者数と、ある時点の職員数は、同じページにあっても集計の時間幅が違います。
| 記録する日付 | 何の日付か | 読み方 |
|---|---|---|
| 自分の閲覧日 | そのページを確認した日 | 職員数などの基準日とは分ける |
| 記入日・更新日等 | 表示に書かれた日付の種類 | 名称も残し、全項目の対象日と決めつけない |
| 項目の対象時点・期間 | 人数を数えた日や集計した年度 | 日付が不明なら「対象時点未確認」と記録する |
過去の操作ガイドにある画面名やボタンが、現在も同じとは限りません。現在の項目説明や対象サービスの記載要領を読み、見つからない項目は、ゼロと置かず未確認として残します。
実人数・常勤換算・経験年数は、意味を確かめて読む
東京都が公開する居宅介護支援の記載要領では、勤務形態別の実人数と、勤務時間に基づく常勤換算人数を区別しています。以下はこの記載要領の読み方を示す例であり、別のサービスを読むときは、そのサービスの項目説明を確かめてください。
出典:東京都介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」記載要領
| 項目 | 定義の要点 | この記載だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 実人数 | 常勤・非常勤、専従・兼務などの区分ごとの人数 | 同じ時間帯に勤務している人数 |
| 常勤換算人数 | 勤務延時間を常勤者が勤務すべき時間で換算した人数 | 毎日その人数がそろうか、休暇時に代替できるか |
| 採用者数・退職者数 | 前年度1年間の人数。法人内異動は含めない | 現在の欠員、補充状況、異動を含む体制の変化 |
| 当該職種の経験年数 | 他の事業所で同じ職種として勤務した年数を含む | その事業所に何年在籍しているか、相談を担当できるか |
実人数と常勤換算人数を同じ「人」という見た目で並べても、人数の意味はそろいません。兼務の記載があれば、自分と同じ業務にどの時間を割く体制なのかを質問に残してください。
経験年数が長い職員の記載から、その事業所の定着の良さや、いつでも助言を受けられる体制までは分かりません。新しく入職する人への相談担当、担当者が休む日の支援、引き継ぎの方法を別に聞くと、自分に必要な情報になります。
退職者数を現在の職員数で割って、離職率にしない
前年度の退職者数と、現在の職員数を使って、その事業所の離職率と呼ぶことはできません。集計期間、対象職種、雇用区分、分母となる人数の定義がそろっておらず、年度中の採用や異動の影響も確かめられないためです。
たとえば、前年度の退職者が2人で、ある時点の実人数が4人と書かれていても、ここから離職率を作らないでください。この数値は読み方を説明する仮想例で、退職した時期、補充の進み具合、現在の担当体制を聞くために使います。
退職者がいるという事実だけで、応募先を候補から外す必要はありません。退職理由の推測や個々の職員の事情を集めるより、引き継ぎ期間、残る業務、入職後の担当予定、欠員時の支援を確かめるほうが、仕事を引き受けられるか判断しやすくなります。
逆に、退職者の記載がゼロでも、異動や勤務時間の変化がないことを意味しません。説明が公表情報と違う場合も、どちらかを直ちに誤りと決めず、対象時点と集計範囲をそろえて確認してください。
研修・営業時間・運営方針を、働き方の質問へ変える
制度や方針が書かれていることと、自分がその支援を受けられることは分けて考えます。研修の記載を見たら、入職する職種や勤務形態が対象か、参加する間の担当業務をどう引き継ぐかを確かめてください。
居宅介護支援の記載要領にある営業時間は、事業所が通常受付対応できる時間帯の情報です。自分の始業・終業時刻や時間外対応の当番は、公表された営業時間とは別に採用側へ確認します。
出典:東京都介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」記載要領
| 公表情報で気になったこと | 自分の働き方で確かめたいこと | 採用側への質問 |
|---|---|---|
| 研修を実施している | 入職後に参加できるか | 対象者、実施時期、参加中の担当業務の代替を教えてください |
| 営業時間外の対応がある | 当番と呼び出しの担当範囲 | 誰が一次受付をし、どの状況で担当者へ連絡しますか |
| 管理者の兼務がある | 管理業務に充てる時間と支援 | 兼務する仕事と、不在時に判断を引き継ぐ役職はどれですか |
| 相談・連携を重視する方針 | 困った場面で相談できるか | 担当者だけで判断できないとき、誰へどの方法で相談しますか |
質問では、法人全体の制度と、配属予定の事業所での運用を分けて聞きます。「法人に研修がある」という回答だけで終えず、自分の職種・配属先で利用する手順まで確かめると、説明の範囲がはっきりします。

仮想例で確認する、公表情報から追加質問までの流れ
居宅介護支援への転職を考える人が、仮想のA法人を調べた例です。名前が似た通所介護と居宅介護支援があったため、法人・所在地・サービス種類・事業所番号を照合し、応募先の居宅介護支援の情報だけを記録したとします。
この例では、2026年4月1日時点の介護支援専門員の実人数が4人、前年度の退職者が2人と記載されています。前年度は2025年4月1日から2026年3月31日と確認できたものとし、常勤換算人数と現在の欠員対応は未確認のまま残します。
| 集めた情報 | 定義・時点の整理 | まだ分からないこと | 追加質問と次の行動 |
|---|---|---|---|
| 応募先はA法人の居宅介護支援 | 併設の通所介護と分け、番号まで照合済み | 管理者との兼務範囲 | 採用窓口に入職時の役割を聞く |
| 実人数4人 | 介護支援専門員。2026年4月1日時点 | 常勤換算と見学時点の体制 | 現在の勤務区分と不在時の支援を聞く |
| 前年度の退職者2人 | 2025年度。法人内異動を含まない定義 | 補充、引き継ぎ、今後の担当予定 | 見学で入職後の担当と支援の説明を受ける |
| 研修の実施記載がある | 記載された研修の対象者を確認中 | 自分が参加する間の代替 | 対象と代替方法を見学時に聞く |
採用窓口から「退職後の引き継ぎは済んでいるが、研修中の代替は管理者へ確認する」と回答されたとします。引き継ぎは口頭回答あり、研修中の代替は未回答と分け、担当業務と支援の説明を受けられる見学を次の行動に選びます。
この段階で「退職者が多いから悪い職場」「4人在籍しているから休める」とは結論づけません。応募の可否に直結する条件がまだ不明なら、採用窓口に回答者の役職と回答予定日を聞き、回答を待つ項目を明示して保留できます。公表資料で分からなかったことは、職場見学の質問と記録で、当日尋ねる項目と持ち帰る記録に分けて準備してください。
面接へ持参するメモは、質問まで書いて完成させる
メモには、事業所を特定する情報、公表ページのURL、閲覧日、項目の定義・対象時点、未確認事項、追加質問を残してください。確認欄を埋めることよりも、面接で誰に何を聞けば判断が進むかが分かる形にすることを優先します。
回答を受けたら、公表情報、口頭説明、書面で確認できた内容を分けて追記します。利用者の氏名や個々の職員の退職事情は記録・転送せず、仕事の範囲と支援体制についての説明だけを残せば、応募判断のメモとして使えます。仕事内容の前提はケアマネの勤務先比較、募集条件の前提は管理職求人の確認項目と照合すると、希望職務に合う追加質問を作れます。
法人・所在地・サービス・事業所番号を照合します。一致しない点は、採用窓口へ確認してからその事業所の数値を読みます。
同じ職種・勤務区分・対象期間で比べられるかを確かめます。そろわない情報は計算や順位づけに使わず、不明な点を言葉にします。
入職後の担当、休暇時の支援、研修への参加など、自分が判断したい内容へ質問を変えます。回答が必要な時期と確認先を決め、面接・見学・追加確認へ進んでください。
- 公表情報が見つからない事業所は、応募しないほうがよいですか。
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検索で見つからないことだけでは判断できません。法人名やサービス種類を取り違えていないかを確認し、対象の事業所番号と公表情報の掲載先を採用窓口へ聞いてください。
- 常勤換算人数が多ければ、担当件数にも余裕がありますか。
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常勤換算人数だけでは、担当業務の分け方や同時に勤務する人数は分かりません。自分に予定される担当範囲と、休暇・研修・急な欠勤が重なるときの支援を別に確認してください。
- 空欄は「実施していない」「該当者ゼロ」と読んでよいですか。
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項目の説明で意味が確認できない空欄は、未確認として残します。数値のゼロや「なし」という回答とは分けて、必要な項目だけ採用側へ確認してください。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
