介護の転職初年度の年収を比べる方法|賞与と入職月を分けて確認

まっく部長
中小企業診断士 元職業紹介責任者 元医療介護企業 人事責任者
公開日:

職業紹介責任者としてケアマネジャーなど資格職の職業紹介に携わり、 医療介護企業の人事責任者として採用・人事制度設計・労務管理を担当。 介護管理職の転職・採用・キャリア情報を、 公的資料と採用側・紹介側の実務経験をもとに執筆・編集しています。

介護の転職初年度は、月給が同じでも入職月や賞与の条件によって収入が変わります。比較期間を「入職日から12か月」にそろえ、毎月の固定額と一時金の支給予定を並べると、何が分かり、何を聞く必要があるかを整理できます。

確認表から読む場合は、初年度の固定額と未確認賞与の比較例をご覧ください。本文の前提と注意点も合わせて確認できます。

最初から総年収を一つに決める必要はありません。月額固定分、条件確認済み一時金、条件付き・未確認の項目を分けて残し、入職日や受諾を決めるために不足する回答を集めてください。

目次

「初年度」が指す期間と、支給日の基準を決める

初年度という言葉だけでは、入職した年の12月末までか、法人の年度末までか、入職から1年間かが分かりません。本稿では、新しい職場に入職した日から12か月を比較期間とします。

たとえば2026年10月1日に入職するなら、2027年9月30日までです。現職の1月から12月の実績と並べる場合は期間が異なるため、同じ表の合計として混ぜず、比較期間に対応する内訳を別に確認します。

本稿の固定額小計は、入職後12か月の勤務に対応する額面を集計します。実際に入金される時期を確かめる場合は支払日も別に並べ、勤務対象期間の小計を、その期間内の入金総額と取り違えないようにしてください。

比較する対象表に入れる期間別に記録するもの
新しい職場の初年度入職日から12か月の勤務に対応する固定額各月分の支払日、賞与等の対象期間と支給日
現職を続けた場合同じ暦日範囲の勤務に対応する条件過去1年の支給実績との差、将来の未確定額
入職日が異なる二案各入職日から12か月両案を同じ日付で比べる必要がある場合の別表
通常年度の想定額算定期間を満たした場合の条件初年度に適用されない賞与や登用後の額
勤務対象期間の固定額小計は、暦年の支給額や源泉徴収票の年額とは別です。税・社会保険・手取りは計算しません。

入職日を変える案を比べるときは、各案の12か月をそろえても、実際のカレンダーはずれます。退職から入職までの期間や前職の最終支給は別に記録し、新しい職場の給与だけでその間の生活を判断しないでください。

前職の退職金や応募先の共済制度も確かめたい場合は、退職金の制度と手続きを整理する手順を使えます。初年度の給与の表とは別に制度名や自分の対象期間を残し、未確認の退職金を給与の小計へ足さないようにしてください。

転職初年度は期間と支給日を分ける。1 期間をそろえる:入職日から12か月勤務に対応する固定額を整理。2 支給時期を記す:各月の支払日と賞与の対象期間・支給日を分ける。3 未確定を残す:未確定の賞与・登用増額は固定額と分けて残す

月額固定分は、金額・開始日・支払日を一組で確認する

基本給や毎月の手当は、自分への適用が確認できた額を月額固定分として記録します。手当の名称が同じでも、候補期間や試用期間には支給されない場合があるため、いつの勤務分から適用されるかを確認してください。

厚生労働省のモデル労働条件通知書には、基本賃金、諸手当の額や計算方法、賃金締切日、支払日などの欄があります。自分の通知書や給与の説明資料を読み、額と支給時期を対応させます。

出典:厚生労働省「モデル労働条件通知書」

確認すること採用担当への質問例未確認ならどう扱うか
入職時の月額基本給と各手当について、入職時に自分へ適用される額を教えてください不明な手当を合計へ加えない
初月の日割りこの入職日では初回の対象期間と計算方法、支給額はどうなりますか月給を自分で30日等で割らない
締日と支払日初回の支払日と、その日に支払う給与の対象期間はいつですか勤務月の額をそのまま入金予定にしない
候補・試用期間期間中と終了後で、金額や手当の開始日は変わりますか未確定の増額は条件付きで別記
給与担当など、個別の条件を回答できる部署への確認に使います。

月途中の入職では、初月分を月給の半分などと推測しないことが大切です。日割り方法、対象日数、どの手当にも同じ計算を使うかを聞き、計算方法が分からなければ初回の額面額の説明を依頼します。

翌月払いの場合は、比較期間の最後の勤務分が期間外の支給になることがあります。勤務対象期間の固定額小計にはその勤務分も入れ、実入金を確かめる表では「期間外支給」と記録すれば、支給時期のずれと条件の差を区別できます。

賞与は算定期間・在籍条件・金額の決まり方を分ける

賞与の支給月が分かっても、初回に受け取れるかはまだ決まりません。算定期間中にどれだけ在籍したか、支給日に在籍する要件があるか、試用期間をどう扱うかなどを確認します。

沖縄労働局の賞与に関する相談事例は、支給条件や在籍要件等の規程を確認する必要を説明しています。「賞与あり」から必ず満額を受け取れると判断せず、自分の入職日を示して具体的な扱いを聞いてください。

出典:沖縄労働局「労働相談事例 賃金・賞与・退職金Q3」

賞与について分ける問い確認する内容記入する結果
いつの勤務を対象にするか算定期間の開始日・終了日、途中入職の扱い初回・次回それぞれの対象期間
誰が対象になるか支給日の在籍、候補・試用期間、雇用形態の条件自分が対象か、判断待ちか
いくらになるか算定基礎、評価、業績、前年実績と今回条件の違い固定額か、条件付きか、未確認か
いつ支給されるか支給予定日と比較期間内かどうか期間内・期間外・支給日未確認
勤務対象期間と支給日を同じ欄にまとめず、両方を記録します。

「年2回」は回数、「前年実績○か月」は過去の実績であり、そのまま初年度の支給額にはなりません。基礎額と倍率だけが分かっていても、在籍期間や評価による調整が未確認なら、計算結果を固定額へ移さないでください。

「条件確認済み一時金」には、本人への適用額、支給時期、支給条件の確認が済んだ一時金を記録します。業績や評価で金額が変わる部分は、制度の説明を受けた後も条件付きのまま残します。

仮想例で、入職後12か月の表を作る

次は、2026年10月1日に入職するA・Bの仮想例です。実在の求人や給与水準の目安ではなく、両方とも12か月同条件で毎月満額を支給し、欠勤等の控除や改定がないと仮定します。

Aの月額固定分は、基本給26万円、役職手当2万円、資格手当2万円の合計30万円です。Bは基本給28万円と役職手当3万円の合計31万円で、資格手当は対象なしと確認した設定です。

A・Bとも固定残業代は含まず、賞与条件は未確認です。以下の「月額固定分」は各月の勤務に対応する満額で、支払日の違いには左右されません。

給与の対象月・区分Aの月額固定分Bの月額固定分条件・一時金の扱い
2026年10月(初月)300,000円310,000円初月も満額という仮定
2026年11月〜2027年8月(10か月)各月300,000円 × 10か月各月310,000円 × 10か月全月同条件。期間中の改定なし
2027年9月(12か月目)300,000円310,000円最後の勤務月も満額という仮定
入職後12か月固定額小計3,600,000円3,720,000円賞与を含まない小計
賞与(固定額とは別欄)未確認未確認本人への適用・算定期間・支給日を回答待ち
仮想例。勤務対象期間は2026年10月1日〜2027年9月30日。支払月基準の入金額ではありません。変動手当、時間外等の追加支給、通勤費等、一時金、控除は含めません。

計算はAが300,000円×12か月=3,600,000円、Bが310,000円×12か月=3,720,000円です。差は120,000円ですが、比較できたのは入職後12か月固定額小計であり、総年収は両方とも未確定です。

賞与欄の未確認は、支給額がゼロという意味ではありません。支給条件の回答を待つ欄として残し、採用担当者から説明を受けてから、期間内に支給される額と条件付きの見込みを分けます。

たとえば毎月の固定額を確認しつつ入職時期を決めたい人なら、この表を使って両社に初回・次回の賞与を質問できます。Bの固定額が高いことと、初年度の総額をまだ比べられないことを同時に説明できます。

次はA・Bとは別に、2026年10月1日入職を想定し、賞与の対象期間・本人への適用額・支給日・在籍条件を確認できたとする仮想例です。計算上は支給条件を満たすと仮定し、同じ2027年9月30日までの支給予定を整理します。

一時金対象期間支給予定日・確認した額比較期間との関係
賞与①2026年10月1日〜2027年3月31日2027年6月10日・20万円支給日が入職後12か月以内
賞与②2027年4月1日〜9月30日2027年12月10日・20万円対象期間は含まれるが、支給日は期間外
額と支給条件まで確認できたとする仮想例。将来の支給を保証せず、実際の適用は規程と本人の条件で確認します。

支給日で区切った比較期間に入る条件確認済み一時金は20万円で、2回分40万円を足すと期間外の支給を混ぜることになります。月額固定分の小計と合計するときも、勤務対象期間で比べるのか、実際の支給日で比べるのかをそろえてください。月額の内訳を分け直す必要があるときは、固定額・条件付き・未確認に分ける給与比較で、重複して足していないか確かめてください。

ケアマネとして勤務先を比べる場合は、居宅・施設・地域包括の給与条件の比較も併用できます。勤務時間、担当する職務、手当の条件をそろえたうえで、ここで作った初年度の月別表へ戻して判断してください。

登用や入職時の支給金は、予定と確定条件を分ける

施設長候補として入職し、「半年後に登用予定」と説明されても、その時点での登用が確定したとは限りません。登用を決める人、条件、判断日、給与が変わる日を確認し、決まるまで増額分を固定額に入れないでください。

別の仮想例で、候補中は月28万円、登用後は月30万円とだけ説明された場合を考えます。28万円×6か月+30万円×6か月=348万円は、後半6か月にその増額が適用されると仮定した計算で、確定した初年度額ではありません。

この場合は、前半・後半という区切り自体が未確認です。登用されない場合や判断が遅れる場合の給与、契約の継続条件も聞き、期間ごとの条件が分かってから月別表を更新します。

入職支援金や一時的な支給金がある場合も、金額だけで毎年の給与に足さないようにします。対象者、支給日、在籍等の条件、返還についての定めを確認し、継続して受け取る給与と別欄に記録してください。

注意|「条件を確認した」と「必ず支給される」は分ける

規程の説明を受けても、業績や登用など、これから決まる条件が残ることがあります。条件がある額は、その条件を明記して固定額の小計と分けておきます。

回答を受けたら、入職日を動かす前に再計算する

A・Bの例で賞与が未確認なら、採用窓口へ「2026年10月1日入職を想定した、初回と次回の賞与の扱いを確認したい」と伝えます。対象期間、在籍要件、支給日、算定方法を質問し、どの資料を根拠に回答したかも残してください。

回答の状態表の更新次の行動
適用額・条件・支給日まで確認できた条件確認済み一時金に対象期間と支給日を添えて別記固定額との重複と、支給が比較期間内かを確認する
支給制度はあるが業績・評価で額が変わる条件付きとし、固定額小計へ足さない何がいつ決まるかを確認する
入職日を変えれば扱いも変わる新しい日付の案を別表で作る変更後の条件を書面等で再確認する
受諾期限まで回答がそろわない未確認のまま残す回答予定と受諾期限を窓口へ相談する
確認結果と判断待ちの項目を残す表です。

資料名、回答日、回答部署、再確認する日を一緒に残すと、後の説明との違いを追えます。選考中に当初の条件が変わる場合は変更内容の明示が必要なため、入職日を調整した後も、自分に適用される最終条件を照合してください。

出典:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」

有期契約などで入職する場合は、雇用形態による賞与の扱いと説明窓口も確認します。2026年10月1日以降に新たにパートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際は、通常の労働者との待遇差などの説明を求められる旨も、書面交付等による明示事項に加わりました。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」、厚生労働省「改正省令及び告示の周知に係るQ&A」

賞与を受け取るために入職日を動かすなら、前職の退職日や引き継ぎ、新職場が希望する開始日との調整も必要です。一時金だけで日付を決めず、条件を確認した表を使って、どこまで調整できるかを双方へ相談してください。計算に使う条件は内定後の最終提示の照合、候補を選ぶ判断は必須条件と未確認を分ける複数内定の比較で確認できます。

よくある質問

初年度の年収は、月額固定分を12倍すれば分かりますか。

12か月とも同じ条件で勤務し、各月分が同じ満額なら、12倍で勤務対象期間の固定額小計を出せます。賞与や変動手当が未確認なら総年収は未確定で、日割りや実際の支払日は別に確認します。

月額固定分が29万円なら348万円で比べてよいですか。

毎月満額、12か月同条件で勤務する仮定なら、348万円は入職後12か月固定額小計です。仮想計算であり、賞与等を含む総年収の確定額ではありません。

初回賞与が分からない場合、ゼロで計算した方が安全ですか。

比較表には未確認と残してください。自分でゼロを置いた仮定と、会社が不支給と回答した条件を混ぜると、追加で聞くべきことが見えなくなります。

入職月を変えると必ず賞与が増えますか。

算定期間や在籍要件、評価の扱いによって変わるため、一律には言えません。変更後の入職日を伝えて初回・次回の条件を確かめ、期間ごとの表を更新します。

この記事の執筆範囲

企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。

現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。

参考資料と確認日

本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。

出典:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」

出典:沖縄労働局「労働相談事例 賃金・賞与・退職金Q3」

出典:厚生労働省「モデル労働条件通知書」

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

出典:厚生労働省「改正省令及び告示の周知に係るQ&A」

書き込み用の資料

手元で整理する場合は、年収条件の分解比較表(PDF)、内定条件三点照合表(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。

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