※本記事は2026年8月時点の制度をもとに作成しています。介護報酬、管理者要件、主任介護支援専門員研修・更新研修の取扱いは今後変更される可能性があります。実際の運用は、厚生労働省や各都道府県・研修実施機関の最新情報をご確認ください。
- 主任ケアマネの負担が大きくなりやすい理由
- 担当件数・管理者兼務・人材育成を整理する方法
- 更新研修・処遇・転職先を判断するときの確認項目
主任ケアマネの負担は役割の重なりから生まれやすい
主任介護支援専門員は、通常のケアマネジメントに加えて、他の介護支援専門員への助言・指導、人材育成、地域づくりなどを担う専門職です。
さらに、居宅介護支援事業所の管理者を兼務している場合は、事業所運営、人員管理、加算・基準の確認、行政対応なども加わります。
問題は、主任ケアマネという肩書だけで業務量が決まるわけではない点です。自分の担当ケースを多く持ちながら、管理者、人材育成、困難事例支援まで重なる職場もあれば、役割分担が明確な職場もあります。
そのため、負担を減らすには個人の時間管理だけで解決しようとせず、担当件数・管理業務・育成業務・事務作業を分けて確認することが重要です。
主任ケアマネの研修要件や管理者要件そのものは、【2026年版】主任ケアマネになるには?研修・更新・管理者要件を解説で詳しく整理しています。
負担① 自分の担当ケースと主任業務を両立しにくい
主任ケアマネであっても、自分の担当利用者を持つことは珍しくありません。そのうえで、他のケアマネジャーからの相談、事例検討、人材育成などが入ると、予定外の業務が増えやすくなります。
2024年度介護報酬改定では、居宅介護支援費Ⅰの逓減制が適用される基準が45件以上となり、逓減前は44件までとなりました。居宅介護支援費Ⅱでは50件以上から逓減となるため、逓減前は49件までです。厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項について
ただし、44件・49件は主任ケアマネが無理なく担当できる推奨件数ではありません。介護報酬上の逓減制に関する基準です。
管理者兼務や人材育成を担う場合は、同じ担当件数でも負担が大きく変わります。件数だけでなく、要支援・要介護の構成、困難事例、移動時間、担当者会議、緊急対応なども含めて考える必要があります。
担当件数は業務の種類とセットで把握する
まず1か月分の業務を、次の4領域に分けて記録してみてください。
| 領域 | 主な業務 |
|---|---|
| 自分のケアマネ業務 | 訪問、モニタリング、ケアプラン、担当者会議、給付管理等 |
| 主任業務 | 相談対応、事例検討、人材育成、スーパービジョン等 |
| 管理者業務 | 人員管理、基準確認、加算管理、行政対応、会議等 |
| 事務・周辺業務 | 電話、書類整理、請求補助、日程調整、入力等 |
負担が大きい場合、担当ケース数だけを減らすべきなのか、管理者業務を分担すべきなのか、事務職員へ移せる業務があるのかを判断しやすくなります。
負担② 管理者を兼務すると仕事の種類が一気に増える
指定居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員である必要があります。一部既存事業所には2027年3月31日までの経過措置があり、主任介護支援専門員の確保が著しく困難であるなど、やむを得ない場合の例外的な取扱いもあります。厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
管理者を兼務すると、ケアマネジメント以外にも、職員配置、運営基準、加算、事故・苦情、行政対応などへの関与が増えます。
ここで確認したいのは、管理者という役職名ではなく、管理者業務に使える時間が確保されているかです。
- 管理者になった後も何件のケースを担当するのか
- 欠員時に担当件数が増えるのか
- 請求・電話・書類整理を事務職員へ分担できるか
- 採用・勤怠・面談など人事業務をどこまで担うのか
- 加算管理や行政対応を法人本部が支援するのか
主任ケアマネ求人の配置要件、加算、ICT、待遇の見方は、【2026年版】主任ケアマネの求人・配置要件はどう変わった?転職時の確認点も参考になります。
負担③ 他のケアマネへの助言と困難事例が集中しやすい
主任介護支援専門員には、他の介護支援専門員への助言・指導、地域課題の把握、人材育成などの役割が期待されています。厚生労働省:介護支援専門員資質向上事業実施要綱
この役割は重要ですが、相談対応の時間が予定表に確保されていない職場では、通常業務の合間に割り込む仕事になりやすくなります。
特に、困難事例への相談、医療機関との調整、家族関係が複雑なケース、後輩ケアマネの判断支援などは、短時間で終わらないことがあります。
相談対応を属人化させない
相談がすべて主任ケアマネ1人へ集まる場合は、次のような仕組みを検討します。
- 定例の事例検討時間を設ける
- 緊急相談と通常相談を分ける
- 中堅ケアマネにも相談役を分担する
- 相談内容と対応結果をチームで共有する
- 地域包括支援センターや関係機関と連携する
主任ケアマネがすべての答えを持つ必要はありません。チームで検討できる仕組みを作ること自体が、人材育成にもつながります。
負担④ 主任研修・更新研修の時間と費用を確保しにくい
2026年8月時点の現行制度では、主任介護支援専門員更新研修を5年を超えない期間ごとに受講する仕組みです。主任介護支援専門員研修修了証明書の有効期間も5年とされています。厚生労働省:介護支援専門員資質向上事業実施要綱
一方、2026年6月に公布された介護保険制度改正では、介護支援専門員について、研修受講を要件とした資格更新の仕組みを廃止する見直しが盛り込まれました。厚生労働省:社会福祉法等の一部を改正する法律の概要
ただし、2026年8月時点で新しい研修制度の具体的な運用がすべて施行されているわけではありません。現在の更新期限が近い方は、将来の制度変更を見込んで自己判断で受講を見送らず、都道府県や研修実施機関へ確認してください。
費用や開催日数、オンライン・集合研修の別、受講要件は都道府県によって異なります。そのため、全国一律の費用や日数を相場として示すより、受講予定地域の募集要項を確認する方が正確です。
勤務先に確認したい研修支援
- 受講費用を誰が負担するか
- 研修日を勤務扱いにできるか
- 移動費・宿泊費の取扱い
- 研修日に担当利用者への対応を誰が引き継ぐか
- 必要な実績や受講要件を勤務時間内に準備できるか
研修を受けられるかどうかを本人の自己犠牲に依存する職場では、継続的な資格維持や人材育成が難しくなります。
負担⑤ 責任と待遇のバランスが見えにくい
主任ケアマネだけを対象とした全国統一の平均年収や主任手当の相場を示す公的統計は確認できません。
法人によって、主任手当を別に支給する場合、管理者手当に含める場合、基本給・役割給へ反映する場合など、処遇の設計が異なります。
そのため、手当が月何万円なら妥当かだけでなく、次の条件をまとめて比較してください。
- 基本給
- 主任手当・管理者手当
- 賞与
- 担当件数
- 管理者兼務
- 時間外労働・休日対応
- 研修費用・勤務扱い
また、2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援にも介護職員等処遇改善加算が新設され、加算率は2.1%です。厚生労働省:令和8年度介護報酬改定の概要
ただし、2.1%がそのまま主任ケアマネ本人の賃金へ上乗せされるわけではありません。実際の賃金改善方法は事業所の計画や賃金制度によって異なります。
実務対策① 業務量を数値ではなく時間で可視化する
業務改善を職場へ相談するときは、忙しいという感覚だけでなく、どの業務に何時間使っているかを整理すると話し合いやすくなります。
1~2週間でもよいので、次の単位で記録してみてください。
- 利用者対応
- 記録・ケアプラン
- 移動
- 後輩・同僚からの相談
- 会議・研修
- 管理者業務
- 電話・事務作業
担当件数が多いことより、相談対応や管理者業務が予想以上に時間を使っている場合もあります。原因が分かれば、担当件数の調整、会議の見直し、事務移管など具体的な提案につなげられます。
実務対策② 主任ケアマネしかできない仕事を絞る
主任ケアマネ本人がすべての業務を抱えると、専門性が必要な仕事へ時間を使えなくなります。
| 業務 | 見直しの例 |
|---|---|
| 困難事例の支援 | 主任が重点的に関与 |
| 基本的な新人支援 | 中堅ケアマネと分担 |
| 会議進行 | 持ち回りにする |
| 定型書類・入力 | 事務職員への移管を検討 |
| 電話・日程調整 | 受付方法や担当を整理 |
| 事例共有 | 定例化し随時相談を減らす |
役割分担は、主任ケアマネの負担軽減だけでなく、他のケアマネジャーが経験を積む機会にもなります。
実務対策③ ICTと事務職員を業務フロー全体で見る
ケアプランデータ連携システムや介護ソフトを導入していても、二重入力や紙の運用が残っていれば、業務負担は十分に減りません。
ICT導入の有無だけでなく、次の流れを確認してください。
- 同じ情報を複数のシステムへ入力していないか
- 紙・FAX・電話でしか行えない工程はどこか
- 事務職員が代行できる入力や連絡はあるか
- ケアマネが判断すべき業務と定型作業を分けられているか
システムの導入そのものを目的にせず、ケアマネが専門業務へ使える時間を増やせたかで評価することが重要です。
実務対策④ 上司・法人へ相談するときは改善案まで示す
業務負担を相談するときは、単に担当を減らしてほしいと伝えるだけでなく、現状と改善案をセットにすると話し合いやすくなります。
| 確認すること | 伝え方の例 |
|---|---|
| 担当件数 | 管理者業務との両立に必要な時間を示す |
| 相談対応 | 定例相談枠の設定を提案する |
| 事務作業 | 移管できる業務を具体的に示す |
| 研修 | 勤務扱い・費用負担・代替体制を確認する |
| 待遇 | 役割と責任範囲をもとに相談する |
給与について相談すること自体に問題はありません。ただし、全国一律の主任手当相場を前提に要求するのではなく、現在担っている役割、管理者兼務、担当件数、人材育成などを整理して伝える方が適切です。
職場を変えるか判断するときのチェックポイント
業務改善を相談しても、役割や体制が変わらない場合は、他の職場を比較することも選択肢です。
ただし、主任ケアマネだから好条件で転職できると決めつけるのではなく、今の職場と候補先を同じ項目で比較してください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 担当件数 | 管理者兼務時の標準件数・欠員時の対応 |
| 管理業務 | 人員・加算・行政対応をどこまで担うか |
| 人材育成 | 主任1人へ集中していないか |
| 事務体制 | 事務職員・法人本部からの支援 |
| 研修支援 | 費用・勤務扱い・代替体制 |
| 待遇 | 基本給・手当・賞与・時間外労働 |
転職エージェントを利用する場合は、求人票に書かれていない担当件数や管理者業務の範囲を企業へ確認してもらう方法があります。法人の採用ページ、ハローワーク、求人サイト、直接応募も含め、必要な情報を得られる方法を選びましょう。
面接で確認しておきたい質問や回答の整理は、ケアマネの転職面接で聞かれる質問10選|回答例と逆質問も参考になります。
主任ケアマネの負担を個人の頑張りだけで解決しない
主任ケアマネの負担は、本人の仕事の進め方だけでなく、担当件数、管理者兼務、相談体制、事務分担、研修支援など、職場の設計によって大きく変わります。
まず、自分の仕事をケアマネ業務、主任業務、管理者業務、事務作業に分けてください。そのうえで、どこを減らすのか、誰と分担するのかを職場と話し合います。
改善できる余地があるなら、現在の職場で役割分担を整えることも有力な選択肢です。一方、管理者兼務や担当件数、研修支援、待遇などが自分の希望と合わない場合は、他の職場を比較して判断しても構いません。
重要なのは、主任ケアマネという資格の市場価値だけで判断することではなく、専門性を発揮できる時間と体制が確保されているかを見ることです。
参考にした主な公的資料
- 厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項について
- 厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
- 厚生労働省:介護支援専門員資質向上事業の実施について
- 厚生労働省:社会福祉法等の一部を改正する法律の概要
- 厚生労働省:令和8年度介護報酬改定の概要
FAQ
- 主任ケアマネの担当件数は何件までが適正ですか?
-
全国一律の適正担当件数を示す基準はありません。2024年度介護報酬改定では、居宅介護支援費Ⅰは45件以上、居宅介護支援費Ⅱは50件以上から逓減する仕組みですが、これは無理なく担当できる推奨件数を示すものではありません。管理者兼務、人材育成、困難事例、移動時間などを含めて判断してください。
- 主任ケアマネ更新研修の負担が大きい場合はどうすればよいですか?
-
まず、受講費用、研修日の勤務扱い、担当利用者の引継ぎ体制を勤務先へ確認してください。2026年8月時点では主任介護支援専門員更新研修を5年を超えない期間ごとに受講する現行制度があります。一方、2026年の介護保険制度改正ではケアマネジャーの更新制廃止が盛り込まれています。現在の更新期限が近い場合は、自己判断で受講を見送らず、都道府県や研修実施機関へ最新の取扱いを確認してください。
- 主任ケアマネ手当はいくらなら妥当ですか?
-
主任ケアマネ手当だけを対象とした全国統一の公的相場は確認できません。手当額だけでなく、基本給、賞与、管理者兼務、担当件数、時間外労働、研修支援まで含めて比較してください。役割と責任範囲が大きく変わっている場合は、それらを整理したうえで勤務先へ待遇を相談する方法があります。
