2026年、主任ケアマネの市場価値が大きく変わろうとしています
2024年4月に施行された介護報酬改定から約2年。
現場で感じている方も多いのではないでしょうか。主任ケアマネジャーを探す求人が増えています。
居宅介護支援事業所の管理者要件が厳格化され、主任ケアマネの配置が原則義務化されたことで、人材獲得競争は激化の一途をたどっているのです。
私が人事コンサルとして介護事業者の採用支援に携わる中で、2025年以降「主任ケアマネが採れない」という相談は月を追うごとに増加しています。
本記事では、2024年度介護報酬改定の内容を踏まえ、2026年の主任ケアマネ求人市場の動向を分析します。求人が増える背景、待遇の変化、そして転職を検討する際の戦略まで、実務経験に基づいた情報をお届けします。
あなたが今持っている主任ケアマネの資格は、想像以上に市場価値が高まっているかもしれません。
2024年度介護報酬改定が主任ケアマネ需要を押し上げた3つの要因
| 項目 | 改定前 | 改定後(2026年現在) |
|---|---|---|
| 居宅介護支援費(要介護3〜5) | 1,368単位 | 1,398単位 |
| 特定事業所加算Ⅰ(月額) | 505単位 | 519単位 |
| 主任ケアマネ配置義務 | 経過措置あり | 原則義務化(完全適用) |
2024年4月に実施された介護報酬改定は、主任ケアマネの需要構造を根本から変えました。
厚生労働省の資料によれば、今回の改定率はプラス1.59%。そのうち0.61%が実質的な本体部分となり、この中で看護職員やケアマネジャーなどの処遇改善対応が行われています。
居宅介護支援費の基本報酬引き上げ
最も大きな変化が、居宅介護支援費の基本単位数引き上げです。
要介護1・2は1,053単位から1,076単位へ、要介護3・4・5は1,368単位から1,398単位へと増額されました。
この改定により、居宅介護支援事業所の収益性が改善。主任ケアマネを配置する余力が生まれたのです。
特定事業所加算の拡充と要件強化
特定事業所加算Iは月505単位から519単位へ増額されました。たった14単位の差に見えるかもしれませんが、40名の利用者を抱える事業所なら、年間で基本報酬とは別に約25万円もの収益差が生まれます。
何より重要なのは、この加算算定には「常勤かつ専従の主任介護支援専門員を2名以上配置」という絶対条件があることです。つまり、あなたが欠けるだけで事業所は加算Iを算定できなくなり、経営に大打撃を与えます。
事業所としては、加算収入を最大化するために主任ケアマネの確保が経営上の最重要課題となりました。
逓減制の緩和条件の変更
2024年改定では、逓減制緩和の要件が明確化されました。
事務職員の配置またはケアプランデータ連携システムの活用が条件となり、ICT活用等の要件を満たすことで、ケアマネ1人あたり49件(※50件目から逓減開始)まで担当可能となっています。
これにより事業所の生産性は向上しましたが、同時に主任ケアマネの管理業務負担も増大。質の高い主任ケアマネへの需要がさらに高まる結果となりました。
データで見る主任ケアマネ求人市場の現状
実際の数字から、主任ケアマネの求人市場を見ていきます。
| 比較項目 | 一般ケアマネ | 主任ケアマネ |
|---|---|---|
| 想定年収 | 350万〜450万円 | 450万〜600万円超 |
| 主な求人ニーズ | 欠員補充・増員 | 管理者・加算維持(必須) |
| 転職時の交渉力 | 標準的 | 極めて高い(条件交渉可) |
居宅介護支援事業所は6年連続で減少
厚生労働省の介護給付費等実態統計によると、居宅介護支援事業所の請求事業所数は2024年4月時点で3万6459件。前年同期から738件減少し、6年連続の減少となっています。
ピークだった2018年からの減少幅は約10%。事業所数が減る一方で、利用者数と給付費は増え続けているのです。
この状況が意味するのは、1事業所あたりの規模拡大です。小規模事業所の統廃合が進み、主任ケアマネを中心とした中規模・大規模事業所へのシフトが加速しています。
主任ケアマネの求人倍率は上昇傾向
大手求人サイトの傾向や2025年までの推移から2026年を予測すると、主任ケアマネの求人数は爆発的な増加トレンドにあります。
主要サイトでは主任介護支援専門員の条件での求人が常時多数掲載され、需給ギャップは広がる一方です。
しかし、主任ケアマネ資格の取得には、ケアマネとしての実務経験5年以上と研修受講が必要。供給が需要に追いついていません。
待遇面での変化
私が人事コンサルとして接する事業所の中には、主任ケアマネ確保のため待遇を大幅に改善するケースが増えています。
ケア人材バンクの2026年1月時点のデータでは、主任介護支援専門員の平均月給から算出した年収レンジは約347万円から588万円となっています。
主任ケアマネ手当として月額3万円から5万円を設定する事業所も珍しくありません。管理者兼務の場合は、さらに管理者手当が上乗せされます。
2026年、主任ケアマネを求める事業所の「本音」
採用支援の現場で見えてくる、事業所側のリアルな事情をお伝えします。
「管理者要件」が最大のプレッシャー
2021年4月以降、居宅介護支援事業所の管理者は原則として主任ケアマネであることが求められています。
経過措置期間が終了した今、主任ケアマネ不在では新規事業所の開設も、既存事業所の運営継続も困難です。
知人の理事長が頭を抱えていたことですが、「主任ケアマネが退職を申し出た瞬間、事業所の存続危機になる」という状況も実際に起きています。
加算算定のための複数配置ニーズ
あなたの『主任ケアマネ資格』は、事業所にとって月額22万円以上の現金引換券と同じです。特定事業所加算Iの算定にはあなたが不可欠だからです。
もし今の職場で、この価値に見合う手当(月3~5万)がついていないなら、あなたは会社に毎月20万円近く寄付しているのと同じです。
地域包括ケアシステムにおける役割期待
2024年改定では、医療・介護連携の強化が重点項目の一つとされました。
ヤングケアラーや障害者、生活困窮者など多様化する課題への対応も求められています。こうした複雑なケースをマネジメントできる主任ケアマネの存在は、地域の信頼獲得に直結します。
他社の話を聞くところでは、「主任ケアマネの質が事業所のブランド力を左右する」という認識が広がっているとのことです。
主任ケアマネが転職市場で有利になる具体的理由
なぜ主任ケアマネは今、転職市場で強いのか。構造的な理由を解説します。
供給不足が長期化する構造
主任ケアマネになるには、介護支援専門員としての実務経験5年以上と、主任介護支援専門員研修の受講が必要です。
主任更新研修は約46時間(新規取得時は70時間以上)に及び、通常業務との両立は容易ではありません。研修費用も自己負担となるケースがあり、取得のハードルは高いのです。
一方で、団塊の世代が75歳を超え、介護ニーズは増加の一途。需給ギャップは今後さらに拡大すると予測されます。
転職先の選択肢が豊富
主任ケアマネが活躍できる場は、居宅介護支援事業所だけではありません。
地域包括支援センター、介護老人福祉施設、有料老人ホームなど、多様な職場があります。それぞれの職場で求められる役割は異なり、自分のキャリアビジョンに合わせて選択できます。
私が転職支援をした主任ケアマネの中には、複数の事業所から同時にオファーを受けた方もいます。
年齢を重ねても価値が下がりにくい
介護業界は一般的に若手が有利とされますが、主任ケアマネは例外です。
経験と実績が重視される職種であり、50代、60代でも高い評価を受けます。むしろ、豊富な経験を持つベテラン主任ケアマネを求める声は強いのです。
定年後の再雇用や嘱託としての勤務も選択肢に入り、長期的なキャリア設計が可能です。
転職を考える主任ケアマネが押さえるべき5つのポイント
実際に転職を検討する際、何に注意すべきか。実務経験から得た知見をお伝えします。
| チェック項目 | 優良事業所の特徴 | 注意が必要な事業所 |
|---|---|---|
| ICT活用 | データ連携システム導入済 | 完全紙ベース・FAX中心 |
| 資格更新支援 | 費用全額負担・出勤扱い | 自己負担・有給消化を推奨 |
| 管理業務 | 専任の事務員が在籍 | ケアマネが全事務を兼務 |
1. 加算取得状況を必ず確認する
事業所の収益性と働きやすさは、取得している加算に大きく左右されます。
特定事業所加算の取得有無、取得している加算の区分を確認してください。加算未取得の事業所は、収益が不安定で給与水準も低い傾向があります。
面接時に「現在取得している加算と、今後取得を目指している加算について教えてください」と質問するのが効果的です。
2. ICT環境の整備状況をチェック
2024年改定で逓減制緩和の要件となったケアプランデータ連携システム。
導入の有無は、業務効率に直結します。紙ベースでの業務が中心の事業所は、残業時間が長くなりがちです。
求人票に記載がない場合は、面接で「ケアプランデータ連携システムは導入されていますか」と確認しましょう。
3. 主任ケアマネとしての役割範囲を明確にする
「主任ケアマネ兼管理者」として募集される場合、管理業務の範囲が重要です。
ケアプラン作成などの実務と管理業務のバランスが偏ると、負担が過大になります。担当利用者数、スタッフ管理の範囲、事業所運営への関与度合いを事前に確認してください。
職務経歴書には、これまで管理してきたケアマネの人数や事業所規模を具体的に記載すると、適切なマッチングにつながります。
4. 研修参加への支援体制を確認
主任ケアマネは5年ごとの更新研修が義務付けられています。
研修費用の負担や、研修参加日の勤務扱いなど、事業所の支援体制は転職先選びの重要な要素です。「主任ケアマネ更新研修の費用負担と、研修日の扱いについて教えてください」と直接確認しましょう。
これらの質問は、転職エージェント経由で行うことをお勧めします。求職者本人が給与や待遇について直接質問すると、面接官に悪印象を与えるリスクがあるからです。
5. 地域での評判をリサーチ
事業所の実態は、地域での評判に表れます。
可能であれば、地域の介護関係者から情報収集してください。ケアマネ同士のネットワークや、サービス提供事業所との関係性などが分かります。
転職エージェントも、事業所の内部情報を持っていることがあります。「この事業所で働いている職員の定着率はどうですか」といった質問をしてみましょう。
2026年以降、主任ケアマネのキャリア戦略
中長期的な視点で、主任ケアマネとしてのキャリアをどう築くか考えます。
複数の専門性を掛け合わせる
医療知識、精神保健、障害福祉など、特定分野の専門性を持つ主任ケアマネは市場価値が高まります。
2024年改定では、ヤングケアラーや障害者への対応が加算要件に含まれました。多様なケースに対応できるスキルセットの構築が重要です。
認定ケアマネジャーや専門ケアマネジャーといった上位資格取得も、差別化戦略の一つです。
事業所開設という選択肢
主任ケアマネは、居宅介護支援事業所の管理者要件を満たします。
独立開業のハードルは決して低くありませんが、経営者としての道も開かれているのです。事業所規模が小さくても、質の高いケアマネジメントで差別化できれば十分な収益が見込めます。
独立を視野に入れる場合、現在の職場で経営視点を学んでおくことが重要です。
教育・指導者としてのキャリア
主任ケアマネの本来的な役割は、他のケアマネへの指導・育成です。
この分野でのキャリアを深めるなら、スーパービジョンのスキル向上や、研修講師としての経験蓄積が有効です。将来的には、都道府県の研修講師や、介護支援専門員実務研修の指導者として活躍する道もあります。
教育分野での実績は、転職市場でも高く評価されます。
地域包括ケアのキーパーソンとして
地域包括支援センターでの主任ケアマネは、地域全体のケアマネジメントの質を底上げする役割を担います。
行政や医療機関との連携、地域ケア会議の運営など、より広い視野での活動が可能です。地域に根ざしたキャリアを築きたい方には、魅力的な選択肢です。
ただし、地域包括支援センターは公的な性格が強く、給与水準は民間の居宅介護支援事業所と比較してやや低めの傾向があります。
転職エージェント活用が成功の鍵
主任ケアマネの転職では、専門の転職エージェント活用が効果的です。
エージェントを使うメリット
給与交渉や労働条件の確認を、エージェントが代行してくれます。
求職者本人が直接「給与はいくらですか」「残業時間はどのくらいですか」と聞くと、金銭面ばかり気にしていると思われかねません。エージェント経由なら、こうした懸念を回避できます。
非公開求人にアクセスできる点も大きなメリットです。好条件の求人ほど、一般には公開されずエージェント経由でのみ紹介されます。
複数のエージェントに登録する理由
転職エージェントによって、得意とする地域や事業所タイプが異なります。
大手エージェントは求人数が豊富ですが、地域密着型のエージェントは地元事業所の内部事情に詳しいという強みがあります。最低でも2〜3社に登録し、情報を比較検討するのが賢明です。
同じ事業所の求人でも、エージェントによって提示される条件が異なることもあります。
エージェント選びのポイント
介護業界、特にケアマネジャーの転職に特化したエージェントを選びましょう。
担当者が介護業界の実情を理解しているかどうかは、サポートの質に大きく影響します。初回面談で、「主任ケアマネの転職支援実績はどのくらいありますか」と確認してください。
レスポンスの速さや、求人紹介の的確さも重要な判断基準です。
あなたの主任ケアマネ資格は、今まさに最も輝く時期を迎えています
2024年度介護報酬改定による制度変更、事業所数の減少と利用者増加という構造変化。これらが重なり、主任ケアマネの市場価値は急速に高まっています。
2026年の求人市場は、主任ケアマネにとって間違いなく売り手市場です。
しかし、好条件の求人には応募が集中します。転職を検討するなら、早めの情報収集と戦略的な準備が不可欠です。
現在の職場に不満がなくても、市場での自分の価値を知っておくことは重要です。転職エージェントへの登録だけでもしておけば、思いがけない好条件のオファーに出会えるかもしれません。
あなたがこれまで積み重ねてきた経験とスキル。それは今、多くの事業所が求めている貴重な財産なのです。
主任ケアマネとしてのキャリアを最大限に活かすため、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
- 50代ですが、今から主任ケアマネとして転職して年収アップは可能ですか?
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十分に可能です。2026年現在、主任ケアマネの市場は「若さ」よりも「経験と資格」が最優先されます。管理者経験があれば、年収600万円以上の提示が出るケースも珍しくありません。
- 今の職場では主任手当が月5,000円です。これは相場より低いでしょうか?
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明らかに低いです。現在の市場相場は月3万〜5万円、管理者兼務ならそれ以上です。特定事業所加算の収益構造を考えれば、もっと高い待遇を求めて転職を検討すべきタイミングです。
- ケアプランデータ連携システムを導入していない事業所は避けるべきですか?
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強く推奨します。2024年改定以降、ICT未導入の事業所は業務効率が悪く、主任ケアマネの負担が過大になる傾向があります。効率化に消極的な事業所は、将来的な経営リスクも高いと言えます。

