ケアマネと社会福祉士のダブルライセンスを考えるときは、次に担いたい仕事を一つ決めると、追加取得の必要性を判断しやすくなります。すでに二つとも持っている人は、どちらの職務として採用され、もう一方の知識をどこで使うのかを確かめてください。
確認表から読む場合は、資格と希望職務の照合票をご覧ください。本文の前提と注意点も合わせて確認できます。
この記事では、資格と希望する職務を照らし合わせ、追加取得を調べる、今の資格で応募する、先に経験を増やす、という三つの進め方を整理します。資格制度の説明は2026年10月4日に確認した一次資料に基づき、記入例はすべて仮想例として示しています。
二つの資格を持つことと、二つの仕事を任されることを分ける
ケアマネとして働くときは、介護保険サービスを利用する人の生活を把握し、計画作成や関係者との調整などを担います。社会福祉士は、生活上の支障がある人の相談に応じ、福祉・保健医療などの関係者との連絡調整や援助を行う国家資格です。
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、厚生労働省「社会福祉士の概要について」
両方の知識を学ぶことで、介護サービスの調整と、住まい・経済面・家族支援などの相談を関連づけて考える手がかりが増えます。ただし、資格の学習と、実際の相談を受け持ち判断した経験は分けて伝える必要があります。
| 確かめる点 | ケアマネ | 社会福祉士 |
|---|---|---|
| 資格と就業の関係 | 試験後の実務研修、登録、専門員証の状態を確認する | 国家試験合格後の登録を確認する |
| 応募先での役割 | どのサービスの計画・調整を担当するか | どの対象者の相談援助を担当するか |
| 二資格を持つ場合 | 相談援助の知識を、担当業務のどこで使うか | 介護保険の経験を、相談や他機関との連携にどう使うか |
出典:厚生労働省「社会福祉士の概要について」、茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」、厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
たとえば、社会福祉士を持つケアマネが居宅介護支援事業所へ入っても、社会福祉士としての別の相談窓口が自動的に設けられるわけではありません。担当するケアマネ業務の中で知識を使うのか、別の職務も任されるのかによって、仕事の内容が変わります。
勤務先の名前より、採用される職務を確認する
「二資格を活かせる職場です」と説明されたら、配属先と主な担当業務を具体的に聞いてみましょう。職場の種類が同じでも、相談窓口、計画作成、連携、後輩支援の分担は応募先によって異なります。
| 候補となる職場 | 主に担いたい職務 | 二資格の経験を伝える点 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援 | ケアプラン作成・在宅サービスの調整 | 生活課題に応じて他機関へ相談した経験 | 担当者か管理者か。管理者なら主任要件等の確認が必要 |
| 介護施設 | 施設の計画作成、または相談援助 | 入退所や家族との調整で自分が担った範囲 | 施設種別、配置職種、兼務の可否と勤務時間 |
| 地域包括支援センター | 総合相談・権利擁護、ケアマネへの支援など | 介護保険実務と他制度の相談経験の範囲 | 社会福祉士等か主任ケアマネ等か、募集される職種 |
| 医療機関などの相談援助部門 | 生活上の相談や地域の関係機関との調整 | 介護側から関わった連携と、未経験の相談業務 | 求める資格・実務経験、入職後の指導と担当範囲 |
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、厚生労働省「地域包括支援センターの設置運営について」、厚生労働省「社会福祉士の概要について」
施設の生活相談員や計画作成担当者の要件、兼務の扱いは、サービス種別と指定権者の基準を確認します。「資格が二つあるので兼務できます」という説明だけでは、配置の根拠や計画作成に使える時間は分かりません。
地域包括支援センターでは、社会福祉士等と主任介護支援専門員等は別の職種として扱われます。一般のケアマネと社会福祉士を持っていることだけで、主任の職種要件や二人分の配置を満たすとは判断できません。資格を使う勤務先を比べるときは、居宅・施設・地域包括の仕事内容と体制で、担当したい仕事が募集職務に含まれるか確かめてください。
現行の設置運営通知には、一定の実務経験に加え、センターの育成計画や現任の主任ケアマネによる助言などの条件を満たす人を「主任介護支援専門員に準ずる者」とする扱いがあります。主任研修の修了だけを唯一の条件として説明せず、応募先がどの規定による配置を予定しているかを確認してください。
この取扱いは、一般のケアマネ全員が主任の資格を得るという意味ではありません。社会福祉士等としての募集を希望する人も、実際にどの相談や事業を担当するのかは別に聞く必要があります。
生活相談員の募集も候補にする場合は、生活相談員とケアマネの職務の違いを比べてください。取得する資格を増やす前に、相談、連絡調整、計画作成のどこを担当したいかと、募集される職務を照合します。
ケアマネから社会福祉士を追加する場合
ケアマネ資格があるだけでは、社会福祉士国家試験の受験資格は決まりません。最終学歴、履修した科目、対象となる相談援助実務を確認し、公式の資格取得ルートに当てはめます。
出典:社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 資格取得ルート図」
大学を卒業していても、指定科目を履修した福祉系のルートか、一般養成施設を経るルートかなどで準備が変わります。一般大学等を卒業した人は、一般養成施設への入学資格を調べる際に、学歴や履修歴を示して養成施設へ確認してください。
出典:社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 資格取得ルート図」、社会福祉振興・試験センター「一般大学等(4年)」
実務経験を使う場合は、勤務先の種類と、その期間に配置されていた職種を確かめます。試験センターの第39回向け一覧では、居宅介護支援事業所などの介護支援専門員について、配置基準により配置されている資格保有者に限ると示されています。
資格があるという理由だけで、介護職として働いた期間をケアマネとして配置された期間に含めることはできません。相談援助以外の職種を兼務していた場合も条件があるため、辞令や担当業務、勤務先が証明できる期間を整理します。
| 手元で整理する情報 | 照合する資料・相手 | 確認したい答え |
|---|---|---|
| 卒業した学校・課程と履修科目 | 卒業校の証明書、公式ルート図 | どのルートを確認すべきか |
| 勤務先の事業種別・配置職種・期間 | 辞令等、勤務先の証明担当者、実務経験の対象一覧 | 対象業務と証明できる期間はどこか |
| 入学資格と実習の扱い | 志望する養成施設 | 入学審査に必要な資料と実習免除の可否 |
| 修了までの負担 | 養成施設の正式な案内、勤務先の休暇等の制度 | 学費、通学・実習日、仕事との調整が可能か |
出典:社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 資格取得ルート図」、社会福祉振興・試験センター「相談援助業務の実務経験」
「ケアマネとして働いているので実習は免除だろう」と見込んで入学計画を立てると、勤務調整の前提が変わることがあります。学校から必要な資料と審査結果を確認してから、学費だけでなく通学・実習に使う時間も含めて判断しましょう。
社会福祉士からケアマネを追加する場合
社会福祉士は、ケアマネ試験の実務経験を確認する対象資格に含まれます。ただし、社会福祉士を登録してから一定年数が過ぎただけでは、受験資格を満たしたとはいえません。
出典:東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験要項」
2026年度の東京都の受験要項では、対象となる資格に基づく業務や所定の相談援助業務について、従事期間が通算5年以上、かつ従事日数が900日以上であることを求めています。国家資格に基づく業務は登録日以降の期間を確認し、要援護者への直接的な対人援助ではない事務・営業等の期間は算入しない扱いです。
出典:東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験要項」
実務経験の確認では、資格登録日、勤務期間、職務内容、従事日数を分けて整理してください。申込先や必要書類、個別の算入可否は受験する都道府県の当年度案内で確認し、勤務先に証明可能な内容を確かめます。
出典:東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験要項」
試験合格後も実務研修、登録、専門員証の交付といった手続があります。採用予定日とケアマネ業務を始められる日を同じと考えず、研修・申請の状況を応募先へ伝えましょう。
出典:茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」
2026年の改正法には、研修受講を要件とするケアマネの更新の仕組みの見直しが含まれています。厚生労働省の6月29日資料では、この部分の施行期日は公布後1年6か月以内に政令で定める日とされています。
改正が決まったという情報だけで、更新申請や研修が不要、失効した証が自動的に有効になるとは判断できません。手元の証の状態と、希望する就業時点で必要な手続を登録都道府県に確認してください。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律について」2026年6月29日、茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」
すでに二資格がある人は、担当・手当・育成の期待を聞く
二資格を持っている人は、資格名を並べる説明に加え、実際に担当した仕事と今後学ぶ仕事を伝えると、配属後の期待を確かめやすくなります。社会福祉士を取得していても、その資格で初めて担当する相談領域があれば、経験があるように説明する必要はありません。
資格手当については、二つとも支給されるのか、配置された職種の資格だけが対象なのかを聞いてください。役職手当や担当変更による賃金の違いも分け、二資格があるだけで給与が上がるという前提を置かず、応募先の規程や提示条件で確かめます。
| 聞くこと | 答えが曖昧な場合の追加質問 | 判断に残す情報 |
|---|---|---|
| 主な担当業務 | 「幅広く担当」の中で、入職直後に一人で担う仕事は何ですか | 主職務、兼務、判断できない場面の相談先 |
| 資格手当の条件 | 所持と配置のどちらが条件ですか。二資格の併給はありますか | 対象資格、支給条件、確認した規程や説明 |
| 育成への期待 | 後輩指導や地域のケアマネ支援も予定されていますか | 教える業務、自分の担当との配分、支援する人 |
| 未経験領域の支援 | 最初の相談を受けるとき、誰が同席・確認しますか | 担当開始の方法と確認者、不在時の代替 |

資格と希望職務の照合票で、次にすることを決める
次の表は、居宅ケアマネが社会福祉士職への転職を考える仮想例です。実在する求職者や採用結果を示すものではなく、分かっていることと、回答を得てから決めることを分けています。
| 確認項目 | 記入した仮想例 | まだ分からないこと | 確認先・次の行動 |
|---|---|---|---|
| 担いたい仕事 | 地域包括の総合相談に関わりたい | 社会福祉士等のどの職種枠の募集か | 応募先へ募集職種と担当予定を聞く |
| 現有資格・経験 | ケアマネとして居宅でサービス調整を担当。社会福祉士は未取得 | 今の資格と経験で募集条件に該当するか | 応募先と市町村の配置基準を確認する |
| 学歴・科目 | 一般大学を卒業。福祉の指定科目は未確認 | 一般養成施設等への入学資格と必要資料 | 卒業校で証明書を確認し、養成施設に照会する |
| 相談援助実務 | 居宅のケアマネとして配置された期間がある | 対象になる期間と、勤務先が証明できる内容 | 勤務先の証明担当者と養成施設へ確認する |
| 経験の不足 | 権利擁護の相談を主担当として扱った経験はない | 入職後に誰が指導・判断支援するか | 応募先へ育成と担当開始を聞く |
| 費用・時間 | 働きながら学びたい | 通学・実習日と勤務調整、総費用 | 養成施設の正式案内と勤務先制度を照合する |
| 現時点の判断 | 追加取得と応募条件の確認を並行する | 資格取得が必要か、今の条件で応募可能か | 回答を得るまで入学や退職の決断を保留する |
この例では、社会福祉士を取ることと、希望する相談業務を担当できることを別々に確認しています。応募先の役割が希望と違うと分かった場合は、資格取得の目的から考え直せます。
| 確認できた状況 | 先に進めること | 保留しておくこと |
|---|---|---|
| 希望職務に追加資格が必要で、取得ルートも確認できた | 学費・実習・勤務調整を具体化する | 担当内容が未確認のまま転職先を決めること |
| 今の資格・経験で応募でき、希望する担当も合っている | 現在の経験で選考へ進めるか相談する | 応募に不要な資格取得を先に必須とすること |
| 資格は足りるが、希望職務の実務が足りない | 異動、担当変更、育成付きの採用を確認する | 未経験業務を単独で担う約束 |
| 希望職務、取得ルート、証明可能な実務が不明 | 不明な項目を一つずつ問い合わせる | 「二資格なら安心」という理由だけの申込み |
よくある質問
- ダブルライセンスなら地域包括支援センターで必ず働けますか。
-
採用は保証されません。募集される職種、配置要件、実務経験、担当内容を確認してください。社会福祉士等と主任介護支援専門員等の枠を混同せず、準ずる者の扱いがある場合も応募先と市町村へ確認します。
- ケアマネとして働いた期間は、社会福祉士の実務経験になりますか。
-
公式の対象一覧には、所定の施設・事業所に配置基準により配置された資格保有者としての介護支援専門員が含まれます。すべての勤務期間を一律に算入せず、施設種別、職種、兼務、期間を資料で照合し、養成施設等の審査を確認してください。
- 主任ケアマネを目指すなら社会福祉士も必要ですか。
-
社会福祉士の追加取得と、主任介護支援専門員研修等の要件は別です。居宅の管理者や後輩支援が目標なら、まず主任として必要な研修・経験と、応募先が求める役割を確かめてください。
資格を増やす前に、担当したい仕事を一文にする
「総合相談を主に担当したい」「居宅のケアマネとして他制度との連携を深めたい」など、次にしたい仕事を一文にすると、誰に何を確認するかが決まります。照合票の未確認欄を埋めながら、資格取得、今の資格での応募、経験を増やす方法を比べてみてください。
二資格を活かす説明も、その仕事で自分が担ったことから始められます。取得予定の資格と、すでに経験した業務を分けて伝え、配属後に学ぶ範囲まで応募先と確認しましょう。経験と希望を伝える準備にはケアマネ面接の回答と逆質問、内定後の職務確認には担当と勤務条件の照合が使えます。
この記事の執筆範囲
企業で人事部長・経営企画部長を経験しています。介護分野では、人材紹介事業の運営・求職者対応と、介護施設向けの採用代行に携わっています。
現在は中小企業診断士事務所で、HR DDなど人材と経営に関わる支援を行っています。この記事の記入例は、書き方や確認手順を示す仮想例です。
次に確認すること
相談援助の仕事へ関心がある場合は、生活相談員とケアマネの役割の違いも比較してください。
居宅で管理者を目指す場合は、主任ケアマネの研修・要件を別に確認してください。
希望する役割が決まったら、面接で経験と希望を伝える準備へ進めます。
参考資料と確認日
本文の根拠資料は2026年10月4日に確認しました。確認手順や質問例は、読者が自分の条件を整理するための編集上の提案です。
出典:社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 資格取得ルート図」
出典:東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験要項」
出典:茨城県「介護支援専門員の登録・専門員証の交付に関する手続き」
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律について」2026年6月29日
書き込み用の資料
手元で整理する場合は、ケアマネ勤務先比較表(PDF)を使ってください。必要な記入欄に、ご自身の状況を書き込んでください。
