※本記事は2026年8月時点の厚生労働省 job tag、令和6年度介護従事者処遇状況等調査、令和7年度介護労働実態調査、2026年度の介護職員等処遇改善加算、現在の求人情報等をもとに作成しています。給与は法人・地域・資格・役割・担当件数・兼務・勤務時間等で変わります。
居宅・施設・地域包括のどこが全国平均で最も高いかを、公的統計だけから単純にランキングすることはできません。
ケアマネの給与は、勤務先の種類だけでなく、法人の給与テーブル、主任資格、管理者兼務、担当件数、夜勤・介護兼務、オンコール、処遇改善等で変わります。
ケアマネの年収を調べると、441万円、450万円、月37万円、月26万円など、かなり違う数字が出てきます。
これは、必ずしもどれかが間違っているからではありません。調査対象と給与の定義が違う数字を、同じ平均年収として並べていることが大きな原因です。
さらに、施設ケアマネの平均として引用される数字の中には、実際には「ケアマネ資格を持っている介護職員」の給与を集計したものもあります。
医療介護領域の人事・給与制度に携わった立場から見ると、年収を比較するときほど、総額だけでなくその数字が誰の、どの給与を、どの方法で集計したものかを確認することが重要です。
ケアマネの全国賃金ベンチマークは年収441.3万円
厚生労働省の職業情報提供サイト job tagでは、介護支援専門員・ケアマネジャーの全国賃金として年収441.3万円が示されています。
2026年8月時点では、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数字で、平均年齢は53.1歳です。
この441.3万円は、ケアマネという職業全体を見るときの全国ベンチマークとして使えます。
一方、居宅ケアマネの平均、施設ケアマネの平均、地域包括の平均を直接比較する数字ではありません。
平均給与375,410円と通常月収259,950円が違う理由
ケアマネの給与を調べると、厚生労働省の375,410円という数字と、介護労働安定センターの259,950円という数字も出てきます。
大きな差がありますが、同じ定義の月収ではありません。
| 指標 | 数字 | 主な定義 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| job tag | 年収441.3万円 | 賃金構造基本統計調査を加工した職業別賃金 | 全国の職業賃金ベンチマーク |
| 介護従事者処遇状況等調査 | 375,410円 | 基本給+手当+一時金の月換算 | 月給・常勤介護支援専門員の平均給与額 |
| 介護労働実態調査 | 259,950円 | 月給者の通常月の税込み月収 | 通常月の月収を見る参考 |
厚労省の375,410円は通常月の手取り・月給そのものではない
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、月給・常勤の介護支援専門員の平均給与額は375,410円です。
ここでいう平均給与額は、基本給と手当に加え、4~9月に支給された賞与等の一時金を6で割った額も含みます。
したがって、375,410円を通常月に必ず振り込まれる月給として読むのは適切ではありません。
また、375,410円をそのまま12倍し、厚生労働省公式の平均年収450万円と表現する方法も、本記事では採用しません。
介護労働実態調査259,950円は通常月の税込み月収
公益財団法人介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査では、賃金支払形態が月給の介護支援専門員について、通常月の税込み月収は259,950円でした。
介護支援専門員の回答者は2,128人です。
375,410円より大きく低く見えますが、通常月収と一時金月換算込みの平均給与額では、そもそも指標が違います。
441.3万円、375,410円、259,950円は、同じ給与を別の機関が測って食い違った数字ではありません。
年収、賞与等の月換算を含む平均給与、通常月の税込み月収という定義の違いがあります。ケアマネの給与を比較するときは、数字の大きさより先に定義を確認してください。
施設ケアマネ平均416,060円と読まない方がよい理由
施設ケアマネの給与を調べると、特別養護老人ホームでは416,060円、老健では403,680円という数字を見かけることがあります。
この数字を使うときは、厚生労働省の表題を確認する必要があります。
令和6年度介護従事者処遇状況等調査の該当表は、介護職員の平均給与額を、サービス種類別・保有資格別に集計した表です。
つまり、特養416,060円は、特養で介護職員として働く人のうち、介護支援専門員資格を保有する人の平均給与です。
特養で介護支援専門員職として勤務する施設ケアマネだけを抽出した全国平均ではありません。
| 数字 | 適切な読み方 | 避けたい読み方 |
|---|---|---|
| 416,060円 | 特養の介護職員のうち介護支援専門員資格保有者の平均給与 | 特養施設ケアマネの全国平均給与 |
| 403,680円 | 老健の介護職員のうち介護支援専門員資格保有者の平均給与 | 老健施設ケアマネの全国平均給与 |
この違いを無視すると、施設ケアマネの年収を実際より高く見積もる可能性があります。
居宅・施設・地域包括を全国平均年収だけで順位付けしない
今回確認した主要な全国公的統計では、実際に介護支援専門員として働く人を、居宅介護支援事業所・介護施設・地域包括支援センターの3区分へ分け、同じ母集団・同じ定義・同じ時点で給与を比較できる全国統計は確認できませんでした。
そのため、本記事では、1位施設、2位地域包括、3位居宅のような全国公式ランキングは作りません。
代わりに、全国ベンチマークを確認したうえで、勤務先ごとに給与を押し上げる要因と負担を分けます。
2026年6月から居宅介護支援にも処遇改善加算2.1%が新設
2026年6月から、介護職員等処遇改善加算の対象サービスが拡充されました。
これまで対象外だった居宅介護支援・介護予防支援にも、加算率2.1%の介護職員等処遇改善加算が新設されています。
ケアマネの処遇改善を考えるうえで大きな変更ですが、ここにも注意があります。
2.1%は個人給与が2.1%上がる意味ではない
2.1%は、居宅介護支援・介護予防支援の介護報酬等に対する加算率です。
ケアマネ一人ひとりの基本給へ、自動的に2.1%が上乗せされる制度ではありません。
事業所が加算を取得し、制度に沿って賃金改善を実施します。基本給・手当・一時金等のどこへ反映するかは、法人の給与制度や賃金改善計画を確認する必要があります。
転職求人を見る際も、処遇改善加算2.1%という制度情報だけでなく、求人票の給与へ改定後の賃金改善が反映されているかを確認してください。
居宅ケアマネの給与は何で決まる?
居宅ケアマネの給与は、夜勤がないから低い、という一言では説明できません。
求人では次のような項目を確認します。
- 基本給
- 介護支援専門員資格手当
- 主任介護支援専門員手当
- 担当件数・技能手当
- 管理者兼務手当
- 特定事業所加算等に関連する法人独自手当
- 固定残業代・実残業代
- 2026年の処遇改善反映
担当件数・技能手当の有無で給与構造が変わる
居宅求人の中には、一定件数以上を担当すると技能手当・件数手当等が増える制度があります。
この場合、月給上限が高く見えても、その金額へ到達するために何件を担当する必要があるかを確認します。
担当件数が増えれば、訪問・モニタリング・連絡調整・給付管理・書類業務等も変わります。
固定残業代を含む居宅求人もある
2026年8月に確認した大阪府内の居宅介護支援求人には、月額240,000~245,000円の中に、固定残業代30,000円、19~20時間相当を含む例がありました。
別の求人では、月額255,000~304,000円、基本給215,000~230,000円、資格手当30,000円、件数手当10,000~44,000円、固定残業なしという例もあります。
同じ居宅ケアマネでも、基本給・固定残業・件数連動の設計が違えば、月給総額だけでは比較できません。
※上記は2026年8月12日前後に確認した個別求人の例であり、居宅ケアマネの全国平均ではありません。
施設ケアマネの給与は何で決まる?
施設ケアマネの給与は、ケアマネ専任か、介護職・相談員・管理者等を兼務するかで大きく変わります。
- 基本給
- ケアマネ資格手当
- 処遇改善・調整手当
- 介護兼務
- 夜勤
- 宿直・オンコール
- 管理者・役職兼務
- 賞与
施設ケアマネでも夜勤なし・日勤中心の求人はある
施設ケアマネは夜勤があるから給与が高い、と一般化することはできません。
2026年8月に確認した大阪府内の有料老人ホーム系求人には、月額253,175~283,175円、基本給203,175~233,175円、資格手当50,000円、固定残業代なし、日勤帯中心という例があります。
賞与は前年実績3.70か月、年間休日114日とする求人例でした。
このように、施設ケアマネでも日勤中心の求人があります。
反対に、介護兼務・夜勤・管理者兼務を含む施設ケアマネ求人もあります。
施設ケアマネの給与を見るときは、勤務先名より、何を兼務してその給与になっているのかを確認してください。
地域包括支援センターの給与は何で決まる?
地域包括支援センターは、公的な役割を担うため、自治体職員の給与と同じだと思われることがあります。
しかし、地域包括支援センターは市町村直営だけではありません。
厚生労働省の通知では、社会福祉法人・医療法人・NPO法人等へ運営を委託することもできます。
したがって、給与は自治体の給与表だけでなく、委託先法人の賃金規程によっても異なります。
地域包括では主任ケアマネ資格・役割の影響も大きい
地域包括支援センターでは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員等が専門職として配置されます。
そのため、地域包括求人の給与を一般ケアマネと比べる場合、主任ケアマネ資格・地域支援・ケアマネ支援等の役割差を分けて見る必要があります。
主任ケアマネの資格・研修は、主任ケアマネになるには?研修・更新・管理者要件を解説で確認してください。
地域包括でもオンコールがある求人はある
2026年8月に確認した大阪府内の社会福祉法人運営の地域包括求人には、主任介護支援専門員で月額276,900~324,600円、基本給225,900~265,600円、ケアマネ手当30,000円、主任手当10,000円等の例がありました。
賞与前年実績4.0か月、年間休日121日で、オンコール手当を設定している求人例です。
つまり、地域包括だから完全に待機・時間外対応がないとも限りません。
※上記は個別求人例であり、地域包括支援センターの全国平均ではありません。
居宅・施設・地域包括を給与構造と負担で比較
| 勤務先 | 給与を押し上げる主な要因 | 負担・確認点 | 夜勤・待機 |
|---|---|---|---|
| 居宅 | 主任資格、管理者兼務、担当件数、件数手当、法人給与表 | 担当件数、訪問、書類、連絡調整、固定残業 | 夜勤は通常前提ではないが時間外連絡は法人確認 |
| 施設 | 資格手当、介護兼務、夜勤、管理者兼務、役職、法人規模 | 介護兼務、会議、家族対応、現場調整 | 求人ごと。日勤専任もある |
| 地域包括 | 主任資格、法人給与表、包括手当、オンコール等 | 総合相談、権利擁護、地域支援、困難事例、ケアマネ支援 | 夜勤は通常前提ではないがオンコール等は求人確認 |
この比較から分かるのは、勤務先だけでは給与の高低を決められないことです。
施設の方が高く見えても夜勤・介護兼務込みかもしれません。居宅の月給が高く見えても担当件数手当・固定残業込みかもしれません。地域包括が高く見える場合も、主任資格・オンコール・地域支援の責任を含む可能性があります。
求人票の給与を7項目に分解する
転職求人を見るときは、月給・年収例をそのまま比較せず、次の7項目へ分けます。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 1.基本給 | 給与テーブルの土台 |
| 2.資格・主任手当 | ケアマネ、主任ケアマネ資格への手当 |
| 3.担当件数・実績連動 | 件数手当、技能手当、インセンティブ等 |
| 4.管理者・兼務手当 | 管理者、相談員、介護兼務等 |
| 5.処遇改善・独自手当 | 2026年制度と法人独自の反映 |
| 6.残業・固定残業 | 時間数、金額、超過分支給 |
| 7.夜勤・待機・オンコール | 勤務回数・手当・負担 |
さらに、賞与、昇給、退職金、年間休日、勤務時間、転勤、フレックス等も別枠で確認します。
固定残業代を採用する求人では、固定残業代を除いた基本給、対象時間数と金額、超過分の扱いを確認してください。
ケアマネの年収差を作る5要因
居宅・施設・地域包括という勤務先名より、次の5要因の方が給与差を説明しやすい場合があります。
- 法人・給与テーブル
同じ居宅でも法人によって基本給・賞与・昇給が違います。 - 資格・役割
一般ケアマネ、主任ケアマネ、管理者では役割・手当が変わります。 - 担当件数・成果連動
居宅等では担当件数に連動する手当がある求人もあります。 - 兼務・時間外負担
介護兼務、夜勤、オンコール、管理者兼務等です。 - 処遇改善・手当設計
加算の取得と法人内配分、独自手当の設計で変わります。
年収を上げたい場合も、勤務先だけを変えるのではなく、どの要因を変える必要があるか考えます。
年収500万円を目指す場合の確認点
ケアマネで年収500万円以上の求人は存在します。
ただし、ケアマネ資格があれば年収500万円へ届くと一般化することはできません。
求人では、主任ケアマネ、管理者、施設管理、法人規模、担当件数、役職等の条件が関係します。
現在の年収から500万円までの差を、夜勤・残業だけで埋めるのか、管理者・主任等へ役割を変えるのか、より給与テーブルの高い法人へ移るのかを分けて考えます。
なお、375,410円を12倍して約450万円だから、ケアマネの多くが年収500万円へ近いという読み方はしません。前述したとおり、この数字は一時金月換算を含む平均給与額です。
今の給与が低いと感じたら転職前に確認すること
今の給与が低いと感じても、すぐ転職と決める必要はありません。
- 基本給が低いのか
- 資格手当が少ないのか
- 担当件数に対する手当がないのか
- 管理者・主任としての責任に手当が連動していないのか
- 固定残業代込みで高く見えているのか
- 介護兼務・夜勤・オンコールが負担になっているのか
- 2026年の処遇改善が給与へ反映されているか
原因が分かれば、現職での給与制度確認、役割変更、法人内異動で解決できる可能性もあります。
それでも条件が合わない場合に、転職を比較します。
続いて、ケアマネを辞めたいときの選択肢|働き方の変更・異動・転職を整理するを確認すると、転職するかどうかを整理しやすくなります。
よくある質問
- ケアマネの平均年収はいくらですか?
-
厚生労働省job tagでは2026年8月12日時点で年収441.3万円が全国賃金ベンチマークとして示されています。一方、厚労省の介護従事者処遇状況等調査では平均給与額375,410円、介護労働実態調査では通常月の税込み月収259,950円です。定義が異なるため、一つの数字だけで判断しないことが重要です。
- 居宅ケアマネと施設ケアマネではどちらが高いですか?
-
全国公的統計だけから一律にどちらが高いとは断定できません。施設ケアマネは介護兼務・夜勤・管理者兼務等で高くなる場合がありますが、日勤専任求人もあります。居宅でも主任資格、管理者兼務、担当件数手当等で高くなる求人があります。
- 地域包括支援センターは公務員並みの給与ですか?
-
一律ではありません。市町村直営の地域包括だけでなく、社会福祉法人・医療法人・NPO法人等への委託もあります。給与は運営主体の賃金表や主任ケアマネ手当、オンコール等で異なります。
- 施設ケアマネは夜勤がありますか?
-
求人によります。ケアマネ専任で日勤中心の求人もあれば、介護職との兼務や夜勤を含む求人もあります。施設ケアマネという職種名だけで判断せず、介護兼務・夜勤回数・役職兼務を確認してください。
- 2026年に居宅ケアマネの給料は2.1%上がりますか?
-
個人給与が自動的に2.1%上がる意味ではありません。2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援にも処遇改善加算2.1%が新設されましたが、2.1%は介護報酬等への加算率です。実際の個人給与への反映は事業所の加算取得・賃金改善方法等で異なります。
- 主任ケアマネになると手当は増えますか?
-
主任介護支援専門員手当を設ける法人はありますが、全国共通の手当額はありません。主任資格だけでなく、管理者・後輩支援・地域包括等の役割が給与へどう反映されるか確認してください。
- 担当件数が多いほど給与は上がりますか?
-
件数手当・技能手当を設ける法人では給与へ反映されることがありますが、全国共通ではありません。担当件数が増える場合は、訪問・モニタリング・連絡調整・給付管理等の負担も合わせて確認してください。
- 今の年収が低いなら転職した方がよいですか?
-
まず給与を基本給、資格手当、件数手当、管理者・兼務手当、処遇改善、残業、夜勤・オンコールへ分解してください。現職の給与制度変更や役割変更、法人内異動で改善できる場合もあります。それでも条件が合わない場合に転職を比較します。
まとめ|勤務先名より給与構造と負担を比較する
ケアマネの年収を比較するときは、まず公的数字の定義を分けてください。
- job tag 441.3万円:全国の職業賃金ベンチマーク
- 厚労省375,410円:基本給・手当・一時金月換算を含む平均給与額
- 介護労働実態調査259,950円:月給者の通常月の税込み月収
さらに、特養416,060円等は施設ケアマネ職の全国平均ではなく、介護支援専門員資格を持つ介護職員の集計である点にも注意が必要です。
居宅・施設・地域包括の給与を比べる場合は、勤務先名だけでなく、基本給、資格・主任手当、担当件数、管理者・兼務手当、処遇改善、固定残業、夜勤・オンコールへ分解します。
2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援にも処遇改善加算2.1%が新設されましたが、個人給与2.1%の自動昇給ではありません。
どの勤務先が高いかより、自分は何を担当し、その責任と負担に対していくら支払われるのかを見ることが重要です。
今の給与・負担が合わないと感じる場合は、現職改善・異動・転職の順に整理し、そこから転職判断へ進みます。
